深海底に沈んだ脊椎動物の骨にのみ生息するホネクイハナムシとその共生細菌をモデルとして,生物が新たな環境へと進出する過程で生じた進化について研究を進めた.ホネクイハナムシが骨を消化吸収する際には,ホネクイハナムシの系統で多様化した消化酵素を根の表皮から分泌することで,骨に含まれているコラーゲンを分解することが明らかとなった.さらに他の動物では消化管で働く栄養吸収に関わる遺伝子が,根の表皮で働くことで消化酵素によって分解された栄養素を吸収している可能性が示唆された.さらにアミノ酸生合成経路などはホネクイハナムシと共生細菌で相補的になっており,互いに不足する栄養を補い合っている可能性が示唆された.
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