研究課題
従属栄養性珪藻類のみが有する遺伝子を同定するため、比較ゲノム解析を行った。従属栄養性珪藻類Nitzschia sp. NIES-3581株のゲノム中に存在する遺伝子と、これまでに報告されている光合成種5種のゲノム中に存在する遺伝子のオーソログ比較をOrthofinderを用いて行った。その結果、44,457のOrthogroupが同定され、その内、上述6種の珪藻類に保存されて存在するOrthogroupは3,782であった。従属栄養性珪藻類にのみ存在するOrthogroupは4,757であり、これらのOrthogroupには遺伝子水平伝播により獲得された遺伝子が含まれ、従属栄養性の獲得に貢献したと予想される。そこで遺伝子水平伝播により従属栄養性珪藻に特異的に存在する遺伝子をより詳細に特定するために、様々な海洋性真核微生物のトランスクリプトームデータ(MMETSP)に対して相動性検索を行い、珪藻類の配列とホモロジーが高い配列を除いたところ、153配列のみが従属栄養性珪藻類のみに存在し、様々な光合成種からは検出されなかった。すなわち遺伝子水平伝播により獲得された候補遺伝子であると推定された。環境中の従属栄養性珪藻類の分布を培養ベースで調査したところ、特定の種が太陽光の当たりにくいマングローブ林内からのみ得られていることが分かった。これはその他の種がマングローブ林の外側の太陽光が当たるサイトからも得られていることと明確に異なる性質である。そこで従属栄養性種4種について光量と増殖能について調べたところ、マングローブ林内からのみ培養ベースで発見される種については20~50μmol photons/m2/sの光量が存在すると増殖が抑制され、100 μmol photons/m2/sの光量では増殖が観察されないことが分かった。また、環境サンプルから従属栄養性藻類培養株を確立した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Proceeding of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻: 116 ページ: 6914-6923
10.1073/pnas.1819976116
BMC Biology
巻: 16 ページ: 140
10.1186/s12915-018-0593-5
Protist
巻: 169 ページ: 351-361
10.1016/j.protis.2018.04.009
Journal of Eukaryotic Microbiology
巻: 65 ページ: 669-678
10.1111/jeu.12512
https://sites.google.com/site/ryomakamikawa/