研究課題/領域番号 |
15H05610
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
豊田 優 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (80650340)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 体質・健康 / 体臭発生機序の分子実体 / 腋臭症 / 膜輸送体 |
研究実績の概要 |
本研究は、ヒト体臭発生機序の分子生理学的理解を通じ、体質や健康状態の違いに基づく「体臭の個人差」を決定する分子基盤の同定を目指す研究である。将来的なにおい診断の実現を視野に、学術的研究基盤の構築と手法論の確立を目指す。試金石である本研究では、体臭として腋臭に焦点を絞り、生活習慣病との関連に着目する解析にも取り組む。本年度(平成27年度)は、研究開始年度に当たり、主に以下の点に取り組んだ。
本研究では、腋臭症の表現型決定因子のひとつであるATP-binding cassette transporter sub-family C member 11 (ABCC11) に着目した研究を進めている。初年度となる本研究では、ABCC11の基質となりアポクリン腺から分泌されることが予想される物質の探索を目的としたメタボローム差異解析に着手した。一連の分析過程は、液体クロマトグラフィー(UPLC)を用いて試料を分離した後、フーリエ変換型質量分析装置(Q-exactive)にて分析し、得られた精密質量情報を多群間差異解析用SIEVE2.1 プログラムを用いて解析するというものであり、微量に含まれる生体成分を取り扱うため、精度や再現性が求められる分析手法である。様々な条件検討や、ABCC11と同じサブファミリーに所属し、基質特異性が比較的似ていると考えられるABCC2を対象とした実験により、膜輸送体の有無によって変動する体液成分を検出・同定する分析系を立ち上げることに成功した。 また、ABCC11タンパク質の細胞内レベルを制御する因子として、N-結合型糖鎖修飾に着目した。糖鎖修飾欠損変異体を用いた解析などから、N-結合型糖鎖がABCC11のタンパク質安定性を制御することが見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
必要となる分析実験系の構築に成功したため。また当初予期していなかった、ABCC11タンパク質の細胞内安定性制御に関わる因子を見出すことができたことから、総合的に考えると、全体の進捗状況はおおむね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究二年度目となる次年度(平成28年度)には、一年度目に構築した分析系を用いた実験を進めるとともに、今後の実験に必要となる生活習慣病モデル動物の作出にも取り組む。
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備考 |
自己紹介(研究室ホームページ内 平成27年3月31日現在) http://plaza.umin.ac.jp/~todaiyak/y_toyoda.php
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