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2017 年度 実績報告書

窒素応答を司る転写因子NLPの機能発現の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 15H05616
研究機関東京大学

研究代表者

小西 美稲子  東京大学, 生物生産工学研究センター, 特任助教 (20642341)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード植物栄養
研究実績の概要

NLP6の核外輸送領域を解析する過程において、NLP6タンパク質の不安定化を担う配列がある可能性が示唆された。NLP6断片とLUCの融合タンパク質を発現させる一過的アッセイにより、不安定化を担う領域はDNA結合ドメインよりもアミノ末端側と、カルボキシ末端側の少なくとも2箇所に存在することが分かった。またアミノ末端側の不安定化に必要十分な領域は核外輸送に関わる領域と重なる約150アミノ酸の領域であることも分かった。
NLPタンパク質のNLPのカルボキシ末端側に存在するPB1ドメインはタンパク質相互作用を担うドメインであると予想されていたが、実際に酵母ツーハイブリッド系においてほとんどのNLPタンパク質PB1ドメイン間で相互作用が確認された。そこで本年度はシロイヌナズナ植物体を用いてPB1ドメインの役割を検討した。PB1ドメインの役割を評価しやすくするために、表現型が顕著なnlp6 nlp7二重変異体を用い、野生型NLP7、または、PB1ドメイン内の相互作用に必須なアミノ酸残基をアラニンに置換した変異型NLP7を発現させるコンストラクトを導入した。地上部新鮮重とNLPの標的遺伝子の発現を評価した。野生型NLP7、変異型NLP7両方のコンストラクトで地上部新鮮重は回復した。一方、nlp6 nlp7二重変異体で顕著に発現レベルが低下するNIA1の発現は、野生型NLP7のコンストラクトを導入した11系統全てで回復していたが、変異型NLP7を導入した場合には、13系統中3系統でのみ回復していた。他の標的遺伝子については、変異型NLP7を導入したことで親ラインであるnlp6 nlp7二重変異体よりも発現レベルが低下する系統があった。このことから、変異型NLP7はある程度機能を保持しているが、その活性は野生型NLP7よりも低くドミナントネガティブに働いている可能性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

NLPタンパク質の分子的解剖と相互作用因子の同定によるNLPの作用機作の解明を目的としているが、NLPタンパク質の不安定化を促進する領域があること、カルボキシ末端側の保存されたドメインがNLPの機能に影響することなどを明らかにしつつあり、NLPタンパク質の作用機作の解明に向けて進展している。

今後の研究の推進方策

今後の方策 800文字
NLP6だけでなくNLP7についても核外輸送配列の同定を進める。また、これまではプロトプラストにおける一過的発現系を用いて解析を進めてきたが、形質転換体も作成し、in plantaでの検証を行う。
植物体におけるNLPタンパク質のPB1ドメインの役割を精査する。昨年度の野生型NLP7発現系統とPB1ドメイン変異型NLP7発現系統の遺伝子発現解析は、硝酸イオン含有培地で一定期間栽培したサンプルで行ったが、本年度は硝酸処理により硝酸シグナルに応答した遺伝子発現を誘導した場合のタイムコースをとって発現解析を行う。昨年度の結果と合わせて野生型NLP7発現系統と変位型NLP7発現系統で最も差が顕著な条件を決定し、トランスクリプトーム解析を行うことで、PB1ドメインが影響を与えている標的遺伝子を同定する。さらに、遺伝子発現のタイムコース解析と合わせてNLP7タンパク質の硝酸シグナルによるリン酸化や核局在、硝酸処理後のNLP7タンパク質量・リン酸化量の減衰がPB1ドメインの有無に影響されるかを調べ、標的遺伝子の発現制御パターンと相関があるかどうか検討する。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 3件)

  • [雑誌論文] Discovery of nitrate-CPK-NLP signalling in central nutrient-growth networks.2017

    • 著者名/発表者名
      Liu, K.H., Niu, Y., Konishi, M., Wu, Y., Du, H., Sun Chung, H., Li, L., Boudsocq, M., McCormack, M., Maekawa, S., Ishida, T., Zhang, C., Shokat, K., Yanagisawa, S. Sheen, J.
    • 雑誌名

      Nature

      巻: 545 ページ: 311-316

    • DOI

      10.1038/nature22077

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Molecular basis of the nitrogen response in plants2017

    • 著者名/発表者名
      Ueda, Y., Konishi, M., Yanagisawa, S.
    • 雑誌名

      Soil Science and Plant Nutrition

      巻: 63 ページ: 329-341

    • DOI

      10.1080/00380768.2017.1360128

    • 査読あり
  • [学会発表] 栄養成長におけるシロイヌナズナNIN-Like Protein 2の役割2018

    • 著者名/発表者名
      沖津孝幸、小西美稲子、栁澤修一
    • 学会等名
      第59回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] シロイヌナズナにおける硝酸シグナルによるNAD+生合成の制御2018

    • 著者名/発表者名
      斉藤守秋、小西美稲子、柳澤修一
    • 学会等名
      第59回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] Glutamine-induced Repression of a High-affinity Nitrate Transporter Gene Promoter in Arabidopsis2018

    • 著者名/発表者名
      Pengcheng Guo, Mineko Konishi, Shuichi Yanagisawa
    • 学会等名
      第59回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] P欠乏による硝酸イオン吸収抑制の分子機構2017

    • 著者名/発表者名
      小西美稲子、前田佳栄、木羽隆敏、柳澤修一
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会2017年度仙台大会
  • [学会発表] シロイヌナズナの硝酸応答を担うNLP転写因子群の機能解析2017

    • 著者名/発表者名
      沖津孝幸、小西美稲子、柳澤修一
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会2017年度仙台大会
  • [学会発表] 硝酸シグナルによるシロイヌナズナNAD+生合成制御の可能性の検討2017

    • 著者名/発表者名
      斉藤守秋、小西美稲子、柳澤修一
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会2017年度仙台大会
  • [学会発表] シロイヌナズナ高親和性硝酸イオン輸送体NRT2.1遺伝子のグルタミンによる発現抑制2017

    • 著者名/発表者名
      郭 鵬程、小西美稲子、柳澤修一
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会2017年度仙台大会
  • [学会発表] Nitrate may regulate de novo biosynthesis of NAD+ in Arabidopsis2017

    • 著者名/発表者名
      Moriaki Saito, Mineko Konishi, Shuichi Yanagisawa
    • 学会等名
      Taiwan-Japan Plant Biology 2017
    • 国際学会
  • [学会発表] Glutamine-induced Repression of a High-affinity Nitrate Transporter Gene2017

    • 著者名/発表者名
      Pengcheng Guo, Mineko Konishi, Shuichi Yanagisawa
    • 学会等名
      Taiwan-Japan Plant Biology 2017
    • 国際学会
  • [学会発表] Functional analysis of the NIN-like protein family for transcription factors responsible for nitrate response in Arabidopsis2017

    • 著者名/発表者名
      Takayuki Okitsu, Mineko Konishi, Shuichi Yanagisawa
    • 学会等名
      Taiwan-Japan Plant Biology 2017
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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