研究課題
微生物の最小サイズは一般に0.2~0.3マイクロメートルとされ、自然科学の諸分野において孔径約0.2マイクロメートルのフィルターを用いた濾過除菌が広く行われる。しかし、研究代表者らの先行研究により、系統的に新規な細菌がこのフィルターを通過することが明らかとなってきた。本研究では、これら濾過性細菌の持つ生物機能を多面的に調べる。最終年度である平成30年度は、昨年度に引き続き「研究課題③ 濾過性細菌群集の持つ生態学的機能の解明」を遂行した。研究③では、前年度までに取得した濾過性微生物群集のメタゲノム情報を用いて、生物情報学的解析(主にビニング)によって、個々の微生物に由来するゲノム断片をグループ化し、各微生物ゲノムを再構築した。その結果、推定上候補門(candidate division)や未培養系統群に属する新規微生物のゲノムを複数獲得するとともに、その遺伝子機能を推定した結果、中にはユニークな嫌気的代謝を有するものが見出された。成果の一部は、国際学術誌に投稿し、現在その査読対応を行っている。加えて、本年度は、当初の研究計画に沿って「研究課題④ 濾過性細菌の生態学的な位置づけ」を遂行した。特に、本若手研究で取得した培養菌株の生理・生化学的性状(代謝基質の資化性や酵素活性、嫌気性・好気性、生育至適な温度・塩分・pH等の増殖特性)と環境メタゲノムから推定される代謝機能を比較・統合し、各微生物が有する生態学的特性を考察した。これらの成果も前述の投稿論文に含まれている。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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講談社ブルーバックス・ウェブサイト
巻: 2019.03.02 ページ: 1/2-2/2
バイオサイエンスとインダストリー
巻: 77 ページ: 56-57