研究課題
若手研究(A)
本研究では、除菌フィルターを通過するほどに小さな濾過性細菌に焦点を当て、その種多様性や新生物機能を網羅的に調べた。その結果、これまで看過されてきた極小サイズの細菌群が潜在的に様々な代謝機能(窒素循環に関わる生態特性や抗生物質の耐性能等)を持つことが判明した。また並行して環境DNA解析も行ったところ、フィルター濾液画分に新奇系統群が検出されたことから、従来、未培養細菌あるいは難培養細菌と考えられていたものの少なくとも一部は、環境中で極小微生物として存在することが高い蓋然性で示された。
微生物学
微生物の最小サイズは一般に0.2マイクロメートル前後とされ、医薬・食品業界や生物学諸分野において孔径約0.2マイクロメートルのフィルターを用いた濾過除菌が汎用される。本研究はこの除菌フィルターを通過する新規な極小細菌群を網羅的に調べたことに学術的意義がある。同時に、そこにユニークな生物機能を有する細菌が見出されたことから、今後の生物資源・遺伝子資源の探索において、濾過性細菌が有力候補の一つになることが明確化したことにも意義があると考える。