研究実績の概要 |
平成30年度は, YUCCA結合タンパク質遺伝子によるオーキシン生合成制御機構を明らかにするために、シロイヌナズナを用いて作出した独立した2ラインのエストラジオール誘導系による当該遺伝子の一過的な過剰発現植物体の網羅的な発現解析及びLC-MS/MSを用いた内生オーキシン量の定量を行った。まず、エストラジオールを12時間処理した10日目の植物体の根を用いたRNA-Seq解析では、両ラインにおいてオーキシン応答性遺伝子であるAux/IAA遺伝子、GH3遺伝子、LBD遺伝子、XTH遺伝子などがコントロールと比較して2倍以上発現量が減少していた。このことから、当該遺伝子の一過的な過剰発現により、根におけるオーキシン作用が抑制されていることが示唆された。一方、エストラジオールを16時間処理した10日目の植物体の根では、コントロールと比較して両ラインで主要なオーキシンであるインドール酢酸 (IAA)の内生量が減少傾向であったものの、有意な減少は認められなかった。今後、IAAアミノ酸複合体やOxIAAといったIAA代謝物が減少しているのか否かについて検討を行うことが必要である。
|