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2016 年度 実績報告書

神経活動の人工制御システムを用いた空腹・満腹中枢神経を介した味覚制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15H05624
研究機関東京大学

研究代表者

中島 健一朗  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (70554492)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード味覚 / 視床下部
研究実績の概要

食物は栄養・味覚・生体調節の3つの機能を併せ持つ。しかし、これまで各因子は独立に研究されてきた。このため、これらを統合しなければ分からない課題、例えば栄養状態や体調の変化により味の感じ方が変わる原因は未だに不明である。例えば、空腹のときの方がそうでない場合と比べ、甘味に対してより敏感に感じられるということは経験的には知られているもののそのメカニズムは不明である。本研究では最新の神経科学的手法によりマウスの摂食中枢の神経活動を制御し、いわば人工的に満腹・空腹状態を再現することで味の感度・閾値や食の嗜好性が変化するかどうかを検証する。また、そのような変化を引き起こすメカニズムの解明を目指す。
昨年度までの成果により視床下部の摂食中枢の活動に応じて味覚感受性が調節されることが示唆された。そこで、本年度はこの神経の役割について詳細な解析を行った。視床下部弓状核に細胞体が存在するため、この神経が脳内のどの部位に投射しているのかを抗体染色により解析した。その結果、投射先は1か所ではなく脳内の複数の部位であることが明らかになった。そこで、光応答性のイオンチャネルをこの神経細胞に導入し、光ファイバーを複数の投射先のうちの1か所に挿入した。これにより、特定の部位に投射している神経のみをレーザー光依存的に活性化できる。各投射先の摂食および味覚に与える影響を評価したところ、視床下部の特定の神経核に投射する一部の神経が味覚感受性に影響を及ぼすことが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

視床下部の食欲中枢神経を起点とした神経ネットワークが味覚感受性に影響を与えることから、ネットワーク内のどの部位が味覚に影響を与えるかを検証した。光遺伝学的スクリーニングにより、視床下部の特定の神経核を介した経路により味覚感受性が調節されることが示唆された。

今後の研究の推進方策

味覚感受性に影響を及ぼす視床下部の神経の分子特性・投射先を明らかにする。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Expanding frontiers in weight-control research explored by young investigators.2017

    • 著者名/発表者名
      Ishimaru Y, Kozuka C, Nakajima K, and Sasaki T
    • 雑誌名

      J. Physiol. Sci.

      巻: 67 ページ: 83-95

    • DOI

      10.1007/s12576-016-0495-7

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 空腹による味覚感受性の変化を制御する脳部位の探索2017

    • 著者名/発表者名
      Nakajima K, Fu O, Iwai Yuu, and Misaka Takumi
    • 学会等名
      第94回日本生理学会
    • 発表場所
      アクトシティ浜松(静岡県 浜松市)
    • 年月日
      2017-03-29 – 2017-03-29
    • 招待講演
  • [学会発表] AgRP神経回路の活動が味嗜好性に与える影響の解析2017

    • 著者名/発表者名
      傅欧、岩井優、三坂巧、中島健一朗
    • 学会等名
      2017年度日本農芸化学会大会
    • 発表場所
      京都女子大学(京都府 京都市)
    • 年月日
      2017-03-18 – 2017-03-18
  • [学会発表] 橋結合腕傍核の味覚伝達経路の解析2017

    • 著者名/発表者名
      岩井 優、傅 欧、三坂 巧、中島 健一朗
    • 学会等名
      2017年度日本農芸化学会大会
    • 発表場所
      京都女子大学(京都府 京都市)
    • 年月日
      2017-03-18 – 2017-03-18
  • [学会発表] Effects of AgRP neuron-derived neuropeptides on high-fat / high-sugar diet selection in mice2016

    • 著者名/発表者名
      Fu O, Narukawa M, Misaka T, and Nakajima K
    • 学会等名
      17th International Symposium on Olfaction and Taste (ISOT 2016)
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県 横浜市)
    • 年月日
      2016-06-06 – 2016-06-06
    • 国際学会
  • [図書] おいしさの科学的評価・測定法と応用展開2016

    • 著者名/発表者名
      中島 健一朗
    • 総ページ数
      212
    • 出版者
      シーエムシ―出版

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公開日: 2018-01-16  

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