研究課題
本研究では、次世代のフレキシブル・ウエアラブル電子デバイスに資する紙の蓄電デバイス「蓄電紙」の創出に取り組んできた。本年度は、蓄電紙の構成要素である「①電極」と「②電解質」について、さらなる性能向上に寄与する成果を得た。以下に、「①ナノセルロースの炭化によるナノカーボン電極の調製」、および、「②紙とイオン液体の複合化によるフレキシブル電解質の調製」に関する成果の概要を記す。①ナノセルロースの炭化によるナノカーボン電極の調製まず、針葉樹クラフトパルプを機械処理して得たナノセルロースを用いて、多孔質なナノセルロースペーパーを調製した。その後、炭化処理を施してナノカーボン材料を得た。この際、炭化温度・時間、昇温・降温速度を精査し、得られた多孔質ナノカーボンについて、カーボン構造分析、および、スーパーキャパシタ電極としての性能評価を行った。その結果、グラフェンやカーボンナノチューブといった従来ナノカーボンと比べて構造欠陥が多く、その欠陥が電気容量の向上に寄与することが示唆された。②紙とイオン液体の複合化によるフレキシブル電解質の調製イミダゾリウム系イオン液体とセルロース間の水素結合を利用して、イオン液体と紙を複合化することに成功し、フレキシブルな不揮発性電解質材料を得た。さらに、イオン液体を媒体として、リチウム塩などの他の電解質を複合化させることも可能であった。この時、元の紙と比べて、電気抵抗率が10桁程度低下し、フレキシブルスーパーキャパシタ用電解質として利用することにも成功した。以上の様に、大容量のフレキシブル蓄電紙の実現に向けた大きな成果を得ることができた。関連成果については、国際材料科学誌2報、総説・著書3報、招待講演10件、国際学会3件の発表を行った。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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