研究課題
シデロフォア 赤潮殺藻細菌由来の新規シデロフォアについて立体化学も含めて構造を決定した。それらは赤潮原因藻類であるC. antiquaに対して顕著な殺藻活性を示した。この活性が鉄キレートによる鉄減少のためでは無い事を確認するために、構造上大きく異なる他のシデロフォア類についても殺藻活性を調べた。その結果、他のシデロフォア類も高濃度においては殺藻あるいは増殖抑制活性を示すが、新規シデロフォアと比較しその活性は弱く、鉄キレート以外の殺藻機構の存在が示唆された。さらに新規シデロフォアは日光照射下において、生物利用困難な三価鉄を二価鉄に還元する機能を持つことから、藻類の増殖と殺藻の両方に寄与するモデルが考えられた。殺藻物質 五稜郭外堀由来のアオコ殺藻細菌を16S rRNA配列からPseudomonas protegensと同定した。また、生産する殺藻物質をピオテルリンと同定し、合わせて新規の類縁化合物も見出した。P. protegensは生物農薬として既に農業分野で実用化されており、湖沼におけるアオコ対策への応用も期待される。クオラムセンシング物質 オートインデューサー(AI)様物質がメタゲノム由来の単一の酸化酵素により生産されることを見出していたが、生合成的考察から宿主である大腸菌由来の酵素の関与も推測された。そこでAI様物質の前駆物質を非組み換え大腸菌の培地に投与したところ、活性物質の生産が認められたことから、メタゲノム由来酵素と大腸菌の内在酵素の二つの関与が示された。海綿由来生理活性物質 ミカーレ属海綿由来抗腫瘍物質の生産菌の共生機構の解明のために、その検出方法の確立を試みた。16S rRNA中の特異的な配列、および抗腫瘍物質の生合成遺伝子配列を指標にDNAプローブを作成し、共生細菌群衆懸濁液にたいしてCARD-FISHを行ったところ、特異的に染色される桿菌を見出した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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