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2015 年度 実績報告書

伴侶動物の尿中エクソソーム由来マイクロRNAの解析:革新的腎障害マーカーへの応用

研究課題

研究課題/領域番号 15H05634
研究機関北海道大学

研究代表者

市居 修  北海道大学, (連合)獣医学研究科, 准教授 (60547769)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード慢性腎臓病(CKD) / マイクロRNA(miRNA) / バイオマーカー / 尿中エクソソーム / イヌ・ネコ / 伴侶動物 / 獣医学 / 伴侶動物
研究実績の概要

近年、伴侶動物の慢性腎臓病(CKD)が急増している。腎臓の細胞が放出し、かつ尿中で検出できるバイオマーカーは、腎局所病変の存在ならびに腎病理型の非侵襲的予測に有用である。我々は、次世代バイオマーカーとしてマイクロRNA(miRNA)に着目し、尿中エクソソームに包含されるmiRNAを伴侶動物の“CKD診断バイオマーカー”に応用することを目的としている。本年度は下記の計画を実施した。
計画①:北海道大学動物医療センターならびに協力民間動物病院からイヌとネコの尿サンプルを収集し、血中BUNおよびクレアチニン値のデータをもとに健常群と腎臓病群(各群n>23)に分けた。収集した尿からエクソソームを抽出し、RNAを精製後、各種解析に用いた。尿中エクソソームサンプルを用いて、エクソソームマーカー(CD9、Tsg101)をウエスタンブロッティング法で検出し、伴侶動物の尿にもエクソソームが存在することを確認した。上記4群(各群1プールサンプル)のRNAサンプルを用いて、次世代シークエンス解析を行った。さらに、得られた解析データならびに過去のイヌ・ネコの腎臓内miRNA発現データを基に尿中エクソソーム由来miRNA発現パラメーターを作出した。結果、イヌ・ネコ共に腎臓病群の尿中エクソソーム由来miR-486/let-7b比が健常群のそれよりも高い傾向にあった。イヌ・ネコにおいて、let-7bの腎臓内発現量が高く、let-7bは尿中エクソソーム由来miRNAの発現補正に有用であると考えられた。腎臓内におけるmiR-486の機能は未だ不明である。
計画②:並行して、次世代シークエンス解析によって選抜したバイオマーカーmiRNA候補が関与する病理イベントをモデル動物でも解析している。MRL/MpJやB6.MRLc1マウスをモデル動物として用いているが、本年度はコットンラットが尿細管間質病変を主体とするネコ様CKDを発症することを発見し、尿中エクソソーム由来miRNAと腎病理イベントの解析に有用なモデルになると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度はイヌおよびネコの尿からエクソソーム由来miRNAを精製し、次世代シークエンス解析を実施し、バイオマーカー候補の選定を行った。当初の計画通り進行しており、今後も選定作業をすすめていく。

今後の研究の推進方策

以下の研究計画を遂行する。
計画①:CKDのイヌ、ネコ、モデル動物の尿・腎臓中の候補miRNA発現動態と腎病理の相関を解明する。
健常群とCKD群の尿由来エクソソーム・腎臓内の候補miRNAをTaqMan PCR解析で定量・比較する。尿および腎臓内の候補miRNAの変動を各CKDステージで明らかにし、腎病理(病理組織スコア、病態関連分子のmRNA・蛋白発現量)・腎機能(血中BUN・Cr、尿蛋白値)との相関を解析する。in situ hybridization法とLaser Microdissection法で候補miRNAの腎臓内局所発現を明らかにする。以上より、選抜した候補miRNAが関与するCKDの病理イベントを決定し、バイオマーカーとしての特性・有用性を明らかにする。本解析にはパラフィン切片を利用でき、長期保存サンプルを導入して症例数を増やす。
計画②:in vitro 培養系を用いて、バイオマーカーmiRNAが制御する細胞内イベントを同定する。
動物で同定したmiRNA発現細胞と近縁の細胞株を用い、バイオマーカーmiRNAまたはそのsiRNAを細胞に導入する。導入後、形態変化を観察すると共に、網羅的mRNA発現解析で影響を受ける遺伝子群を同定し、miRNAの下流シグナルを解析していく。本解析により、バイオマーカーmiRNAの標的mRNAとその下流経路を同定し、臨床応用への基盤となるmiRNAのバイオインフォメーションを明らかにする。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Female cotton rats (Sigmodon hispidus) develop chronic anemia with renal inflammation and cystic changes2016

    • 著者名/発表者名
      Ichii O, Nakamura T, Irie T, Kouguchi H, Nakamura D, Nakamura S, Sato S, Yokoyma K, Horino T, Sunden Y, Elewa YH, Kon Y
    • 雑誌名

      Histochemistry and Cell Biology

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      10.1007/s00418-016-1438-3

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] MRL/MpJ mice show unique pathological features after experimental kidney injury2016

    • 著者名/発表者名
      Shiozuru D, Ichii O, Kimura J, Nakamura T, Elewa YH, Otsuka-Kanazawa S, Kon Y
    • 雑誌名

      Histology and Histopathology

      巻: 31(2) ページ: 189-204

    • DOI

      10:14670/HH-11-662.

    • 査読あり
  • [学会発表] 遠位尿細管傷害を知らせるマーカー分子“IL-1F6/IL-36a”の有用性2015

    • 著者名/発表者名
      市居 修 、中村 鉄平、堀野 太郎、木村 純平、岡村 匡史、昆 泰寛
    • 学会等名
      第158回日本獣医学会学術集会
    • 発表場所
      青森県十和田市北里大学
    • 年月日
      2015-09-09 – 2015-09-09
  • [学会発表] 尿中exosome由来microRNAの解析-動物種横断的腎障害マーカーになるか?-2015

    • 著者名/発表者名
      市居 修、大田 寛、堀野 太郎、中村 鉄平、細谷 実里奈、溝口 達也、森下 啓太郎、中村 健介、佐々木 東、滝口 満喜、佐藤 遼、小山田 和央、昆 泰寛
    • 学会等名
      第8回日本獣医腎泌尿器学会学術集会
    • 発表場所
      東京都千代田区連合会館
    • 年月日
      2015-08-23 – 2015-08-23
  • [備考] 北大・獣医・解剖学教室ホームページ

    • URL

      http://www.vetmed.hokudai.ac.jp/organization/anat/

  • [備考] 北海道大学研究者総覧

    • URL

      http://researchers.general.hokudai.ac.jp/profile/ja.wkc9JlsishXmgpuI4vfbHA==.html

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公開日: 2017-01-06  

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