研究課題
始原生殖細胞(primordial germ cell; PGC)は精子および卵子の起源となる細胞であるが、試験管内での継続的な培養系が確立されておらず、研究を進める上で大きな障壁となっている。近年、研究代表者らはES細胞やiPS細胞から機能的なPGC様細胞(PGC-like cell; PGCLC)を分化誘導することに成功した。さらに、研究代表者はPGCLCを用いたhigh-throughputケミカルライブラリースクリーニングを実施し、PGCLCの増殖を一定期間支持することが可能な化合物を見出している。本研究の目的は、これまでの実験系をさらに発展させることにより、PGCLCを試験管内で自在に増殖・分化させる技術の開発である。平成28年度はPGCLCのより長期培養を行うことを試みた。昨年度の実験により、PGCLCの長期培養の大きな問題点として、多能性細胞であるEG細胞(embryonic germ cell)様の細胞が出現することが明らかとなっていた。この問題を解決するため、ケミカルライブラリースクリーニングで見出されていた他の化合物を検討したところ、EG細胞様の細胞が出現することなく、PGCLCの増殖を支持する化合物を見出すことに成功しつつある。現在、化合物やサイトカインを組み合わせることによりPGCLCの長期培養系の確立を目指している。
2: おおむね順調に進展している
EG細胞様の細胞が出現することなく、PGCLCの増殖を支持する化合物を見出しつつあるため。
化合物およびサイトカインを組み合わせることによりPGCLCの長期培養系の確立を試みる。また、培養したPGCLCの機能解析を移植実験により行い、機能的な配偶子への分化能を検討する。
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The EMBO Journal
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