脂肪滴はリン脂質の一重層からなる膜と中性脂肪を中心部に含んだ構造体である。脂肪滴は中性脂肪を単に蓄えるだけではなく、多様な生理機能を持つオルガネラである。ほ乳動物の卵細胞質には多量の脂肪滴が含まれているが、その生理機能はよく分かっていない。本研究は、特に受精前後の脂肪滴に着目して、脂肪滴の動態や蓄積に関わる分子機構の一端を明らかにするのが目的である。本研究によって、卵細胞質に蓄積された脂肪滴は受精前後に劇的にその局在を変化させることが明らかとなった。また、受精後の脂肪滴は、細胞内のリパーゼによって分解されるだけでなく、受精直後に活発に起こるオートファジーによる選択的分解が関与する可能性がある。
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