研究課題
若手研究(A)
本研究では、微生物を用いた廃棄ゴムからのプラスチック生産技術の開発を目指して、ゴムを強力に分解する細菌“E1株”とゴム分解時にプラスチックを生合成する細菌“NS21株”の機能解析を行った。その結果、本来、誘導的に発現するE1株のゴム分解遺伝子を構成的に発現させることでE1株のゴム分解能を強化できることが明らかとなった。また、NS21株のゴムからプラスチックへの変換に関わる一連の遺伝子群を推定した。以上の成果は、廃棄ゴムをプラスチックとして再生する資源循環技術の基盤構築に貢献すると考えられる。
応用微生物学
本研究の成果を基盤として微生物を用いたゴム変換技術が確立されれば、これまで燃焼や埋立てによって処理されていた廃棄物の再資源化が可能となる。それは、将来的に増加が懸念されているゴム廃棄物による環境負荷の低減に貢献するだけでなく、既存のプラスチック製品を代替することで、枯渇が危惧されている化石資源からの脱却が可能となる。さらには、ゴム自体の付加価値が高まることで、我が国の主要産業の一つであるゴム・タイヤ産業の収益安定化ならびに持続的発展に寄与すると期待される。