研究課題
A型およびB型インフルエンザウイルスの表面などに見られる酵素ノイラミニダーゼ(NA)のシアリダーゼ活性を蛍光イメージングする新技術の応用法の開発と高性能化を行うことで、ウイルスおよびNAの研究を新展開させるツールの開発をめざす。疎水性の蛍光物質ベンゾチアゾリルフェノール誘導体(BTP3)にシアル酸(N-アセチルノイラミン酸、Neu5Ac)を結合させて蛍光性をオフ制御したシアリダーゼ蛍光イメージング剤BTP3-Neu5Acはシアリダーゼ活性の存在位置を蛍光染色できる。さらに、BTP3-Neu5Acと抗インフルエンザ薬(NA阻害薬)を併用することで、NAの薬剤耐性を検出することができる。この原理とタンパク質濃縮フィルターを利用して、簡単な操作で短時間に薬剤耐性を検出する方法を開発した。その感度は市販のインフルエンザ診断薬の検出感度と同等以上であった。また、インフルエンザウイルスのNAのシアリダーゼ活性が、一般的な酵素で最適とされる37℃よりも高い温度に適していることが分かった。多検体の薬剤耐性を短時間に高感度で調査できることで、薬剤耐性インフルエンザウイルスの監視や疫学情報の取得に貢献するものと期待される。本研究成果はオープンジャーナル誌に報告した。BTP3-Neu5AcをウイルスのNA機能解析に応用するには、性能的にやや不十分なところがあった。そこで、インフルエンザウイルス感染細胞(内)のシアリダーゼ活性を高精度に蛍光イメージングするためのイメージング剤の高性能化を行った。シアリダーゼ活性の存在位置を高精度に蛍光染色する、あるいは蛍光化の感度を向上させるための構造改良基盤を確立した。高性能化したイメージング剤は、NAのシアリダーゼ活性の挙動解析などの基礎研究に貢献するものと期待される。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
代表者の受賞:静岡県立大学(第5回)学長表彰、2018年12月17日特許登録:鈴木 隆、高橋忠伸、南 彰、池田 潔、大坪忠宗、新規化合物及び該化合物を含む蛍光組成物特開、静岡県公立大学法人、学校法人常翔学園、2016-141652(2015年2月2日出願、2019年3月15日特許登録番号6493964)
すべて 2019 2018 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (37件) (うち国際学会 2件、 招待講演 5件) 備考 (1件)
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https://w3pharm.u-shizuoka-ken.ac.jp/~biochem/index.html