研究実績の概要 |
我々はこれまでにアポトーシス時に細胞膜上においてホスファチジルセリン(PS)の露出を実行するタンパク質(スクランブラーゼ)としてXkr8を同定している。前年度、Xkr8の形成する複合体をBlue-Native PAGE(BN-PAGE)により調べた結果、BN-PAGE上で240kDa(実際は120kDa程度)の複合体を形成していることが分かった。本年度、免疫沈降によりXkr8複合体を精製し、マス・スぺクトロメトリーにより複合体の解析を行ったところ、その構成要素としてI型膜タンパク質のBasigin(BSG)とNeuroplastin(NPTN)を同定した。BSGとNPTNの両方を欠損させた細胞ではXkr8の複合体は消失したが、BSG、NPTNのどちらかを発現させることで複合体形成はレスキューされた。またBSG,NPTNの両方を欠損させた細胞ではアポトーシス時のPS露出が減弱したことより、BSG,NPTNはXkr8の機能に必要であることが分かった。詳細に調べると、BSG,NPTNの両方を欠損させた細胞ではXkr8が細胞膜に局在せず、細胞質内にとどまることが分かった。一方でこの細胞にBSG,NPTNのどちらかを発現させるとXkr8の細胞膜への局在が可能となったことより、BSG,NPTNはXkr8を細胞膜に移行させるシャペロンとして機能すると結論付けた。
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