研究課題
本研究の目的は、食事中に含まれる遊離脂肪酸センサーとして外部環境を感知し、生体内のエネルギー代謝調節を担う、脂肪酸受容体の生理機能を多角的かつ詳細に解析し、脂肪酸受容体が制御するエネルギー代謝システムを解明する。本年度は、昨年度から作出を試みていたGPR120floxedマウスの取得を継続して行った。昨年度までに得られていたGPR120遺伝子コンディショナル・ノックアウトマウスの第1世代 (F1) ヘテロ接合体マウス (GPR120floxE1/+ROSA26KI(CAG-Flp)およびGPR120floxE1/+) と野生型マウスとの自然交配で、第2世代 (F2) マウスを作製を行った。その結果、Flpトランスジーンが除去されたマウス (GPR120floxE1/+) が作出に成功した。さらに、ユビキタスにGPR120を欠損したGPR120完全欠損マウスを作出するため、CAGプロモーターの下流でCreを発現するトランスジェニックマウスとの交配を行った。その結果、目的通り、GPR120完全欠損マウスの取得に成功した。今後は完全欠損マウスを使用した機能解析実験やex vivo実験を行うことによりGPR120の機能未知組織や細胞における研究を展開しつつ、特定の組織や細胞において特異的にGPR120を欠損するコンディショなるノックアウトマウスの作出を目指し、適切なCre発現マウスの選定と交配を行う予定である。また、作成した遺伝子改変動物を用いた複数の共同研究プロジェクトが開始されており、これらに基づき骨形成、リン脂質代謝の司るエネルギー代謝調節機構、腸内細菌叢由来脂肪酸の脂肪酸受容体を介したエネルギー代謝調節機構などの解析を進めている。
2: おおむね順調に進展している
計画通りに組織特異的遺伝子欠損マウス作製を行い、floxedマウスの取得に成功したのに加え、一種類のCreマウスとの交配を行い、全身欠損マウスの取得にも成功したため、ほぼ計画通りであり。これらのリソースを用いた共同研究が複数実施されており、一部計画を上回る進捗がある。
今後は、既に取得したfloxedマウスを活かすため、組織特異的にCreを発現するトランスジェニックマウスの選定とその取得を行ったのち、速やかに交配を行うことにより解析対象マウスを作製する。これと並行し、既に行っている共同研究を進めることにより、骨形成やリン脂質代謝、腸内細菌叢由来脂肪酸により代謝調節など様々な状況下でGPR120を始めとした脂肪酸受容体の司るエネルギー代謝調節メカニズムを解明していく予定である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 3件)
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