研究課題
申請者は、マウス皮膚感染モデルから回収した菌をゲノム解析した結果、4種の転写調節因子(covS、covR、rocA、liaR)に変異が入ることを予備的解析により明らかにした。これらの4種の遺伝子のノックアウト株を作成し、病原性をマウス感染モデルにて評価した。さらに、ノックアウト株とマウス皮膚感染モデルから分離された高病原化突然変異株の病原性を比較・評価した。局所感染モデルで選択された変異がある遺伝子は、転写調節因子をコードしており、frame shiftなどの変異によりその機能が阻害されていることが推測された。これらの転写調節因子の全身感染時における遺伝子制御を明らかにするために、マウス敗血症モデルとRNA-seq解析を組み合わせてin vivoトランスクリプトーム解析を行った。局所感染モデルで選択されたcsrR、rocA、liaRに変異を持つ株はsadD2ノックアウト株であるため、本変異株を用いるとsdaD2の影響が考えられる。そのため、野生株からcsrS、csrR、rocA、liaRのノックアウト株を作製した。マウスの腹腔内に菌を投与し経時的に菌を回収しRNAを抽出した。次世代シークエンサーによりRNA-seq解析を行った。その結果、csrS、csrR、rocA欠損株ではhasAやsloなどの病原因子が野生株に比べin vitroで高発現しているが、マウス感染後さらに発現が上昇していることがわかった。一方で、liaRノックアウト株では既知の病原因子の高発現化がみられなかった。つまり、csrS、csrR、rocAノックアウト株で高発現している病原因子が、さらにin vivoにおいて発現上昇していた。このような病原因子の高発現化がSTSSの発症に寄与していることが推測された。本研究により、STSSに関わる主要な病原因子の遺伝子発現機構の一端が明らかになったと考えている。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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