研究課題
我々は本研究に先立って、交感神経がリンパ球の体内動態を制御する仕組みを明らかにしていた。リンパ節に投射する交感神経からノルアドレナリンが放出されると、リンパ球に発現するβ2アドレナリン受容体が活性化されるのに伴って特定のケモカイン受容体のシグナルが増強される結果、リンパ球のリンパ節からの脱出が抑制される。しかし、β2アドレナリン受容体とケモカイン受容体間のクロストークの分子機構と、この交感神経によるリンパ球動態の制御機構の生理的意義は不明であった。そこで本研究では、この2つの問題点を解明することを目的とした。平成28年度までに、交感神経の活動性の概日リズムに応じてリンパ球のリンパ節からの脱出頻度が変化し、それに伴ってリンパ節における免疫応答の強度に日内変動が生まれることがわかった(J. Exp. Med. 2016)。これによって、交感神経によるリンパ球動態制御の生理的意義が明らかになった。そこで平成29年度以降は、β2アドレナリン受容体とケモカイン受容体間のクロストークの分子機構に的を絞って研究を行った。我々はこの受容体間クロストークに関与し得る分子として、COMMD3とCOMMD8から成る機能未知のタンパク複合体(COMMD3/8複合体)を同定しており、その機能解析を進めてきた。その結果、平成30年度までにCOMMD3/8複合体がβ2アドレナリン受容体およびケモカイン受容体にシグナル伝達分子GRK6を動員することによって、これらの受容体のシグナル伝達を促進することを見出した(J. Exp. Med. 2019)。今後も引き続きβ2アドレナリン受容体とケモカイン受容体間のクロストークにおけるCOMMD3/8複合体の役割について解析を進め、交感神経系と免疫系を連動させる分子機構を明らかにする。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 7件) 備考 (1件)
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