研究課題/領域番号 |
15H05662
|
研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
竹村 重輝 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (70511559)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 手腕振動障害 / 末梢振動感覚閾値 / 国際標準化機構(ISO) / 健康管理 / 産業保健 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、和歌山県下の振動工具取扱作業者を対象に調査を実施した。男性林業従事者40人(年齢の平均[標準偏差]は59.7[12.4]歳)、ならびに農場・道路整備に従事する男性現業公務員45人(51.7[5.9]歳)が対象である。 対象者からは、自記式質問票により自覚症状(手の循環症状・神経症状等)、職歴等についての情報を得た。9つの周波数(SAI受容体に対応する3.15・4・5Hz、FAI受容体に対応する20・25・31.5Hz、FAII受容体に対応する100・125・160Hz)の振動刺激に対する対象者の手指振動感覚閾値(VPT)を測定した。この測定後、10℃の水に10分間手を浸し、浸漬終了直後・5分後・10分後にVPTを測定した。また、Stockholm Workshop Scaleによる問診と診察により自覚症状の確認を行った。 9周波数すべてで、林業群は公務員群に比べてVPTが有意に高かった。冷水浸漬試験中も、一貫してVPTは林業群の方が高かった。林業群のデータを循環症状の有無で比較したところ、VPTに有意な差を認めなかった。一方、林業群のデータを神経症状の有無で比較したところ、FAIおよびFAIIに対応する周波数では、冷水浸漬前後とも、VPTに有意差または境界域の有意差を認めたが、SAIに対応する周波数では、このような差は4Hzで冷水浸漬後に認めるのみであった。公務員群のデータを循環症状の有無・神経症状の有無で比較した場合は、このような差はほとんど認めなかった。 以上の結果から、各機械受容体に対応する周波数によって末梢神経障害の度合いに差異があることが示唆された。 また、非作業者7人からVPTデータを取得した。平成28年度にも非作業者VPTデータを収集予定であるため、このデータと併せて非作業者のVPT基準値を作成する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
和歌山県下の振動工具取扱作業者である公務員を対象とした調査のうち、平成27年度分を予定通り完了した。また、非作業者を対象としたデータ収集を実施した。 これに加えて、平成27・28・29年度と最大3年度にわたって実施する予定だった、林業従事者を対象とした調査を、平成27年度にまとめて実施した。
|
今後の研究の推進方策 |
和歌山県下の振動工具取扱作業者である公務員を対象とした調査は、平成27年度に引き続いて行う。平成27年度・28年度の2か年にわたって調査を行うことで、当該公務員を網羅的に検査できる。 また、非作業者のデータ収集を続けて行い、作業者のデータと比較する。
|