本研究は、従来からバイオマーカーとして使用されてきたマイクロRNA(以下miRNA)に対するメチル化をはじめとする化学修飾に着目し、がん診断ツールとしてのmiRNAの精度向上を測ることを目的として進めてきた。平成29年度も引き続き、化学修飾検出のための、質量分析によるmiRNAの解析技術の最適化を行い、癌細胞株から得られたRNAの解析を進めた。その結果、miRNAオリゴに関しては、高い精度で、ごく微量のメチル化分画も測定できるレベルにまで検出感度を向上させることに成功した。またmiRNAメチル化機構の解明に向けて、RNAメチル化に関わる酵素群の機能解析を進めており、これらが癌の造腫瘍性や、薬剤耐性に関わることを明らかにした。In silicoでは前年度に続き、メチル化が起こった場合のmiRNAの関連タンパクへの結合性の変化を示すことに成功した。
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