研究課題
今まで多くの抗癌剤が開発されたが、現在も多くの人が癌で生命を失っている。近年、多くの分子標的治療薬が開発され、癌患者の予後の改善に貢献している。分子標的治療薬のうち、盛んに開発が行われ、その有効性が多く報告されているものにATP競合型tyrosine kinase inhibitor (TKI)がある。ATP競合型TKIは、癌の増殖・生存に必須の働きをするチロシンキナーゼを標的としている。これらATP競合型TKIは、その名の通り癌遺伝子由来のタンパクのATP結合ドメインにATPと競合的に結合することで、癌遺伝子由来のタンパクを不活性化し抗癌剤としての機能を発揮する。これらTKIは、多くの癌種で頻繁に使用され癌患者の予後の改善に大きく貢献しているが、その効果は完全ではなく、最初から効果のない場合(一次耐性)もあれば、使用当初は効果が認められるが、長期的に使用するに伴い癌細胞が耐性を獲得し効果がなくなってしまう場合(二次耐性)もある。申請者らの本研究開始前に得られていたとくに重要な知見は、複数のATP競合型EGFR-TKIsの感受性がEGFRタンパクに対する「ATPの親和性」と「薬剤の親和性」の“バランス”で規定されていることを見出したことである。より端的に表現すれば、腫瘍内のATP濃度を低下させることで、ATP競合型TKIの薬剤効果を増強できるということである。本研究の目的は、現在臨床で使用されている既存薬の中から腫瘍内ATP濃度を低下させる薬剤を同定し、その薬剤とATP競合型TKIを併用する、より強力な抗癌剤治療法を開発することである。我々は、本研究の中でin vitroおよびin vivoの実験を行い各種薬剤が癌細胞のATPレベルに与える影響を評価した。その中で、ATP濃度を低下させる薬剤を複数同定した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Cancer Research
巻: 77(8) ページ: 2078-2089
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Molecular Cancer Research
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