研究課題
関節リウマチは、炎症性骨破壊を来す難治性の自己免疫疾患である。近年、生物学的製剤の登場により、従来の治療法では疾患活動性をコントロールできなかった症例においても、関節破壊の進行を強力に阻止し、病状を寛解に持ち込むことが可能となった。現在、抗TNFα抗体や抗IL-6受容体抗体、T細胞選択的共刺激調節剤 (CTLA4-Ig) など様々な生物学的製剤が、関節リウマチ治療において臨床応用され、その骨破壊抑制効果が示されているが、生体内における各種薬剤の破骨細胞に対する作用機序の差異については不明な点が多い。本研究では、二光子励起顕微鏡を駆使して、個体を生かしたまま生体骨組織内をリアルタイムで観察し、生物学的製剤が炎症によって誘導された破骨細胞の動態に及ぼす効果を解析した。その結果、抗TNFα抗体治療群および抗IL-6受容体抗体治療群では、成熟破骨細胞の骨吸収活性の低下が認められた。一方、CTLA4-Ig治療群では、成熟破骨細胞の骨吸収活性に変化を認めなかったが、破骨前駆細胞の運動能が亢進し、血中へ還流していく様子が観察された。さらに、CTLA4-Igの標的分子CD80/86は、成熟破骨細胞よりも破骨前駆細胞に強く発現していることが分かった。以上より、抗TNFα抗体および抗IL-6受容体抗体は主に成熟破骨細胞、CTLA4-Igは破骨前駆細胞に強く作用し、それぞれ異なる作用機序で骨破壊を抑制し得ることが明らかとなった。本研究で確立した生体イメージング技術は、生きた骨・関節組織内の様々な細胞の挙動や機能を時空間的に解析することができるため、今後、関節リウマチの病態解明や新規治療薬の開発において強力な手段となることが強く期待される。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Annals of the Rheumatic Diseases
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1136/annrheumdis-2017-212880
Nature Communications
巻: 9 ページ: 300
10.1038/s41467-017-02541-w
Methods in Molecular Biology
巻: 1763 ページ: 1-9
10.1007/978-1-4939-7762-8_1