エンドソームやリソソームはその膜が損傷するとオートファゴソームにより隔離され、intact リソソームと融合する事により処理される。この過程を我々はリソファジーと名付けた。リソソーム病におけるリソファジーの影響を見るために、リソソームを損傷させ、Galectin3(Gal3)の免疫染色によりリソソームの損傷度合いを評価した。当初の計画ではGal3-GFPの発現を予定していたが、抗Gal3抗体による免疫染色で充分評価出来る事が分かったためそちらを採用した。リソソーム病のモデルとしてはムコリピドーシスII型の細胞を用い、それらをhTRETで不死化し用いたが、ムコリピドーシス細胞は不死化したにもかかわらず非常に生存率が低かったため、別のリソソーム病細胞を用いるなど、今後何らかの対策が必要であると考えられる。この細胞においてトランスフェクション試薬でコーティングしたマイクロビーズを取り込ませる事で、エンドソームやリソソームの損傷を引き起こした結果、正常細胞に比べて数倍リソソームが損傷しやすい事が明らかになった。また、リソファジーによると考えられる回復のプロセスにおいても遅延している可能性が明らかになった。リソファジーの分子メカニズムとして、リソソーム膜が損傷した時にユビキチンが動員される事に注目し、破れた膜の成分を認識してユビキチン化するユビキチンリガーゼの同定を目指しているが、我々はいくつかの候補分子を同定し、それらがリソファジーにおける役割を明らかにするべく解析を進めているところである。
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