乳癌等において発現亢進するArf6およびAMAP1は、インテグリンの細胞膜への再輸送を促進して浸潤・転移に寄与する。一方、インテグリン下流のシグナルは、がん細胞の放射線や薬剤への耐性にも寄与している。本研究では、Arf6-AMAP1経路の阻害によりインテグリンシグナルが減弱すると、ミトコンドリアの細胞内分布が阻害され核周辺に顕著な集積を起こし、放射線によって生じる活性酸素が増幅することを新たに見出した。また、インテグリンの下流でミトコンドリア輸送に寄与する分子群と、それらの相互作用の様式を明らかにした。さらなる研究により、ミトコンドリア集積と活性酸素増幅に基づく放射線増感法の確立が期待される。
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