研究課題
28年度においては、まずGFPマウスより分離した胎児細胞を用いて肝臓原基化した組織を腎被膜下移植および、同所性移植することにより検証を行った。 レシピエントには、免疫不全動物を用い、肝障害の存在・非存在下において門脈内投与に適正な肝臓原基は200μm程度のサイズであること、細胞数としては1x10^6程度が移植可能であること、などを明らかとした。さらに、経門脈投与が難しい新生児マウスにおいては、肝臓内への直接注射による移植が可能であることも明らかとした。さらにヒトiPS細胞由来肝臓原基を用いた検証を本格化した。まずヒトiPS細胞より肝臓原基を作成する手法、すなわち、作成する組織の大きさや数を制御する手法の安定化を図った。具体的には、ヒトiPS細胞から材料となる3種類の細胞を各々10日間分化誘導を行い、それらの細胞を用いて、 iPS由来肝臓原基の創出を行った。6wellプレート1well当たりに、肝内胚葉細胞を3x106,血管細胞を2.1x106,間質細胞を3x105播種した。24時間培養を行った後に出来たヒト肝臓原基を移植に用いた。次に、総数1000-3000個・直径200μm程度の ヒトiPS細胞由来肝臓原基の腎被膜下移植・門脈内投与を行い、移植後の機能発現の比較検証を開始した 。その結果、 移植後早期(1-2週)の段階で、組織学的な生着が確認できることが示され、明らかな有害事象を認めなかった 。さらに、移植した肝芽より分化した肝組織の分化成熟度の評価を目的として、ヒト肝細胞特異的な機能マーカーをである、血清中に分泌されたヒトアルブミンをELISA法により定量解析を行い、数百―千ng/mlという飛躍的に高い濃度で機能発現が確認されることが示された。今後、遺伝子発現解析や、組織学的解析、機能発現を詳細に検討するとともに、疾患モデルへの治療効果を検証する。
1: 当初の計画以上に進展している
iPS細胞を用いた肝臓原基作成手法の至適化に成功し、ヒトiPS細胞を用いた移植実験が軌道に乗った。得られた成果は国際的に権威の有る科学雑誌で審査中であり、29年度中には公表可能であると考えられる。
肝臓病における疾患モデルに対する治療効果を検証し、iPS細胞由来肝臓原基移植による効果検証を本格化する。
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