研究課題
世界最速で超高齢化の進行する我が国において、靭帯骨化症、骨粗鬆症及びそれに伴う骨折、変形性関節症といった運動器疾患の克服は喫緊の医療課題である。本研究の目的は、分子生物学的アプローチを利用して、靭帯骨化及びその進展機序を明らかにし、世界に先駆けて骨・軟骨代謝調節の新たな視点からの解明を目指し、未だ治療法が確立しない靭帯骨化症の発症メカニズムの解明によって、靭帯骨化症の治療薬の臨床応用に展開するための基盤研究とすることである。今年度は骨芽細胞・破骨細胞特異的Cdk1欠損マウスの表現型解析を行った。破骨細胞特異的Cdk1欠損マウスについては野生型マウスと比較して明らかな骨量低下を認めなかったが、骨芽細胞特異的Cdk1欠損マウスについては、脊椎における骨芽細胞数の低下、機能異常による骨量の有意な低下を認めた。また、マイクロCTによって大腿骨における骨量低下についても確認した。更に、靭帯骨化と同様のメカニズムである骨折モデルを作成し、Cdk1の骨折治癒における影響についても検討した。骨芽細胞特異的Cdk1欠損マウスは野生型マウスと比較して、明らかな骨折の治癒の遅延を認めたため、現在この機序について解析中である。そして、靭帯骨化の発生におけるCdk1の意義について解析するために、後縦靱帯骨化マウスであるttwマウスにCdk1阻害薬の投与実験を行っており、現時点でネガティブコントロール群についての投与が終了し、次年度にttwマウス群への投与を行う予定である。また、新たに新規靭帯骨化関連遺伝子を検討するために、次世代シークエンサーを用いた網羅的解析を行い、新規靭帯骨化関連因子Xを同定し、現在機能解析中である。
2: おおむね順調に進展している
当初計画した研究実施計画について、ほぼ順調に消化できているため。また、新たに靭帯骨化関連因子の候補を同定するなど、研究は更なる発展を示していると考えられるため。
計画は順調に推移しており、このまま研究計画に従って継続していく。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)
J Orthop Sci
巻: 2 ページ: 371-374
doi: 10.1016/j.jos.2015.08.003.
Spine (Phila Pa 1976)
巻: 印刷中 ページ: 印刷中