研究課題
口唇口蓋裂や後鼻孔閉鎖等を始めとする顎顔面形成不全は先天性疾患の中でも30%以上の割合で発生し、患者の生活の質(QOL)を著しく低下させる多因子性疾患である。今回の研究結果からは胎生時における異常なレチノイン酸(RA)シグナルは口唇口蓋裂と後鼻孔閉鎖を併発させる原因となる事が明らかとなっている。更にRAシグナルは様々な遺伝的要因や環境的要因と相互作用を持つ事が知られており、これらの多因子疾患の病因において中心的な役割を果たしている可能性がある。 過去の多くの研究から胎生期のRAシグナルの異常な不足や亢進は様々な先天性奇形を誘発する事が知られている。その中でも口唇口蓋裂はRAシグナル異常によって引き起こされる事が知られている代表的な疾患である。今回の我々の研究から胎生期のRdh10によって制御されるRAシグナルの低下が口唇口蓋裂と後鼻孔閉鎖を併発する原因となる事、またその病態に至る分子メカニズムが繊維芽細胞成長因子(Fgf)を介するものである事を見出した。更に後鼻孔を形成する過程ではFgfシグナルを介した継続的な上皮における細胞増殖が必要である可能性が示唆された。また、後鼻孔を形成するのに重要な時期を探索する為に胎生時期の違う時期にRdh10遺伝子をノックアウトしたマウスも作製し胎生8日以前の上皮におけるRdh10の発現が後鼻孔形成に重要な役割を果たす事が明らかとなった。これらの成果はGordon Research Conference、国際人類遺伝学会 を始め多くの国際学会にて発表を行い、論文はHuman Molecular Genetics誌に受理されている(Kurosaka et al. Hum Mol Genet. 2017)。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 9件、 招待講演 1件)
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