研究実績の概要 |
本研究の目的は男性同性愛者のもつ複数のソーシャル・キャピタルとの相関関係や性的健康との関連を明らかにすることである。 日本ではHIV感染が拡大しており、特に若年層や都市部での男性同性間における感染拡大が顕著である。本研究により健康行動に影響を与える要因が明らかとなり、予防介入のメカニズムが理論的に示されることが期待でき、エイズ対策として実証的なモデルを国内および国外に提示することが可能となる。 初年度は先行研究からネットワーク・信頼・互酬性の規範や結合型ネットワークや橋渡し型ネットワーク項目を抽出した。HIV感染リスクや予防行動に関する項目も含め、当事者団体の意見をふまえ男性同性愛者の社会的文脈に沿った調査項目とした。アンケートセットの内容は第1調査、第2調査ともに趣意書、同意書、質問紙、回答用封筒、謝礼として商業施設で使用可能な1,000円相当のチケットとした。実施について名古屋市立大学看護学部倫理委員会の承認を得た。 研究計画に従い本年度は第1調査を実施した。近畿地域でMASH大阪と共同し、同意の得られた商業施設にアンケートセットを配布し、従業員から利用者に直接手渡し、留め置き法により回収した。配布協力店舗は目標を上回る103店舗となり、1ヶ月間で2,230部のアンケートセットが配布された。(平均21.6部)。そのうち1,321部が回収された(回収率59.2%)。これは先行研究とほぼ同様の回収率である。近畿地域在住のMSM(Men who have sex with men)またはゲイ・バイセクシュアル男性を分析対象者とし、有効回答者は1,140人であり、統計ソフトウェアSPSSを活用しデータ分析を行った。
|