研究課題/領域番号 |
15H05709
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
友永 雅己 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70237139)
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研究分担者 |
森阪 匡通 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (00422923)
伊村 知子 新潟国際情報大学, 情報文化学部, 准教授 (00552423)
中原 史生 常磐大学, 総合政策学部, 教授 (10326811)
三谷 曜子 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (40538279)
林 美里 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (50444493)
山田 祐樹 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (60637700)
田中 正之 京都大学, 野生動物研究センター, 特任教授 (80280775)
足立 幾磨 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (80543214)
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研究期間 (年度) |
2015-05-29 – 2020-03-31
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キーワード | こころの進化 / 霊長類 / 哺乳類 / からだ / 比較認知科学 |
研究実績の概要 |
本研究の最終的な目的は、さまざまな認知機能の総体であるこころの進化の道筋を明らかにし、そのような進化の理由を解明することにある。今年度は初年度までの成果を基に各研究課題を発展させるとともに、分担者間で連携を図りつつ、「物理環境の認識」と「社会環境の認識」に分け、その相互作用も視野に入れつつ研究を進めてきた。 「物理環境の認識」に関しては、チンパンジーを対象とした注意特性の分析、鮮度知覚、アンサンブル知覚、感覚間一致、空間認知などの研究を進めた。ヒトを対象とした研究では、昨年度に引き続き身体化認知、情動処理の文化間比較や発達研究を進めた。また、ウマについてはタッチパネル課題を用いた数認識の研究を進めている。さらに、タッチパネルシステムをヤギやリクガメに導入すべく引き続き研究を進めている。また、イルカについては音響タッチパネルを用いた視覚弁別実験を進めるとともに、液晶モニタを展示面外部に設置するという実験システムを用いた視覚認知課題の導入に成功した。さらに類人猿各種を対象とした対象操作とその種差に関する研究を進めた。 「社会的環境の認識」に関しては、チンパンジーにおける視覚的種認識、幼児図式の認知、注意状態の認識などについて研究を進めた。また、シャチ、ハンドウイルカ、ベルーガ、などを対象とした音声コミュニケーションに関する研究を進めた。また、ハンドウイルカの協力行動や模倣学習、種弁別についても検討した。種弁別については、ウマでも研究を進めている。 本研究のもう一つの柱である野外調査については、チンパンジー、ボノボ、オランウータン、マウンテンゴリラ、幸島のニホンザル、北海道沿岸での鰭脚類およびシャチなどの各種鯨類、御蔵島や錦江湾でのミナミハンドウイルカ、駿河湾での各種鯨類の調査を精力的に進めている。また、ウマについてはポルトガルでの半野生馬の調査に研究に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は、鯨類を対象にした研究が計画以上に進展した。その一つは、北海道東部でのシャチなどを対象とした調査研究である。バイオロギングやドローンを駆使して、興味深い知見が数多く発見され、その成果の一部はマスメディアで公開された。また、ドローンを用いた調査は鹿児島錦江湾においても着手し、成果を上げつつある。さらに、飼育下の研究では、音響タッチパネルの本格運用が始まるとともに、圧電素子方式のタッチパネルシステムの導入に向けて研究が始まっている。このような鯨類での研究の進捗とともに、チンパンジー、ヒト、ウマでの研究も着実に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
各対象種についてタッチパネルシステムの導入が進みつつある。このシステムを活用して、「社会環境の認識」の問題をさらに深化させていきたい。また、同時に霊長類ではアイトラッキングを用いた研究も着実に進展させていきたい。フィールドワークについては、鯨類等の海棲哺乳類の調査が進展しつつある。海棲哺乳類の研究は水族館との連携が必須である。次年度は、水族館スタッフと積極的に連携して野外調査を進めていきたい。 また、比較の「外群」としてリクガメなどの爬虫類を導入したが、他の系統群として、地上適応している鳥類などでの研究の可能性も探っていきたい。
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備考 |
研究成果の公表については、上記の(1)(2)に多数のリンクあり。
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