研究課題/領域番号 |
15H05711
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
湊 真一 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (10374612)
|
研究分担者 |
津田 宏治 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (90357517)
宇野 毅明 国立情報学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (00302977)
鷲尾 隆 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (00192815)
有村 博紀 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (20222763)
堀山 貴史 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60314530)
|
研究期間 (年度) |
2015-05-29 – 2020-03-31
|
キーワード | 離散構造処理系 / 離散構造 / BDD / ZDD / グラフアルゴリズム / 列挙アルゴリズム / 網羅的解析 / データ構造 |
研究実績の概要 |
本基盤研究はJST ERATO湊プロジェクトの後継プロジェクトの位置づけで採択されているが、初年度はERATO特別重点期間との重複を避けるため,基盤アルゴリズムのコア部分の研究だけを切り出して本基盤研究で実施した.そのため研究経費も初年度は少額に抑えて実施した.研究実績の概要は以下の通りである. (1) ZDD およびその派生形であるSeqBDD やπDD等の演算処理の基盤アルゴリズムをさらに充実させ,様々な社会インフラ問題への応用を進めた.具体的には,πDDの工学的応用に関する国際会議発表(RC2015),ZDD生成アルゴリズムのさらなる高速化技法に関する国内会議発表(FIT2015),ZDDによる確率モデル表現に関する国際会議発表(AMBN2015)等,今後の発展につながる基盤アルゴリズムの研究が進捗した. (2) 離散構造処理系による効果的な組合せ探索法および列挙索引化法の開発を継続して進めた.具体的には,ERATOで開発した超高速列挙アルゴリズムに基づき,1票の格差が小さい選挙区割りの解析法のOR学会での発表,電力網解析の電気学会での発表,生命情報学の統計多重検定の国際ワークショップでの発表等を行った. (3) ERATO 研究者コミュニティの維持発展,および他の国家プロジェクトとの連携を図った.研究分担者の宇野教授を中心として,東京・神田に連携研究のためのサテライト拠点を設置し,河原林ERATO,ビッグデータCREST/さきがけ,新学術「計算限界」,電力系CREST等との交流を進める環境整備を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度はERATO湊プロジェクトとの重複期間であり,研究活動の円滑な引継ぎに務めた.ERATOプロジェクトは無事終了し,A+評価となる見込みである.北大での研究オフィスの移転と,東京・神田のサテライト拠点の設置を行い,次年度以降に向けた研究環境が整った.また,次年度からのポスドク研究員や研究補助員の採用を進めた.基盤的な研究成果も現れており,全体として順調に進展している.
|
今後の研究の推進方策 |
ERATOプロジェクトも終了し,平成28年度からは本基盤研究において本格的な研究活動を実施していく.以下の3項目について継続的に研究活動を行う. (1) 離散構造処理系の基盤アルゴリズム技術の確立とソフトウェアの整備 ZDDおよびその派生形であるSeqBDDやπDD等の演算処理の基盤アルゴリズムをさらに充実させ,様々な社会インフラ問題への応用を進める.過去にERATO湊プロジェクトで開発したフロンティア法による高速なZDD生成アルゴリズムをさらに発展させ,与えられたグラフに含まれる辺素なパス集合パタンを列挙して索引化する問題や,グラフの頂点集合の分割パタンを列挙・索引化する問題等に前年度に引き続き取り組む. (2) 離散構造処理系による効果的な組合せ探索法および列挙索引化法の開発を行う.昨年度までの研究成果を受けつぎ,さらに新たな探索アルゴリズムの研究開発を継続して進める.電力網,選挙区割り,生命情報学における統計多重検定等の応用研究を進める. (3) ERATO湊プロジェクトで形成された研究者コミュニティによる年2回程度のワークショップおよび不定期のセミナ(講演会)を継続的に開催し,最新の技術情報を交換するとともにERATOプロジェクトの成果をベースとする新たな研究成果への展開を目指す.また,国内学会との共催イベントや国際ワークショップの開催,学会論文誌特集号や単行本の執筆等も積極的に行う.さらに東京・神田のサテライト研究拠点をベースとして,他の国家プロジェクトとの情報交流や研究者交流を実施し,連携を強化していく.必要に応じ国際ワークショップの共同開催を企画するなど,離散構造処理系に関する日本の研究コミュニティをしっかり確立させた上で,海外とのパートナーシップの醸成を目指す.
|