研究課題
ゲノムDNAは、外的・内的要因によるDNA損傷の脅威に常に曝されている。DNA損傷は「ゲノム不安定性」を誘発し、長い潜伏期間の後、発がん等重篤な疾患を引き起こす。本申請研究では、ゲノム変異をエンドポイントとして内因性変異因子や環境変異原に対する細胞の損傷応答機構を明らかにする研究を提案している。本年度は以下の研究成果を得た。1)本申請研究においてrev3遺伝子変異体では大腸がんが年齢依存的に全個体で発症する事を見いだしている。更に本変異体細胞において、染色体異常が多発している事、ガンマH2AX-fociが高頻度に形成される事を、昨年度の解析で報告している。これらの結果は、rev3変異細胞では二重差切断(DSB)が通常の培養条件下で高頻度に誘発されている事を示唆している。本年度は、この自然誘発DSBをin situに直接検出する為に、EndSeqと呼ばれる「DSB末端をアダプター結合によりマークした後、NGSにより、DSB誘発サイトとその頻度を決定する方法」の確立を行なった。2)DSB多発原因としてDNA複製ストレスが考えられる。それを実証する為、DNA合成速度をDNA Fiber Assayにて測定したところ、rev3変異体細胞ではDNA合成速度が低下していることが明らかになった。更に本変異細胞は、通常のDNA合成に働くDNAポリメラーゼ阻害剤であるAphidicolinに対し高感受性となっている事を見出した。これらの結果は、rev3変異体細胞では常に複製ストレスがかかっており、これが高頻度DSB誘発の原因である事を示している。3)次世代DNAシークエンサー(NGS)を活用したゲノム変異解析系を樹立し、rev3個体で誘発されている大腸がんにおいては、Deletion, Inversion, Translocation等のゲノム構造異常が多発している事を見出した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Current Biology
巻: - ページ: -
Genes Cells.
巻: 25 ページ: 124-138
10.1111/gtc.12746. Epub 2020 Feb 5.