研究課題/領域番号 |
15H05719
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
鈴木 倫保 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80196873)
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研究分担者 |
池田 和司 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (10262552)
加納 学 京都大学, 情報学研究科, 教授 (30263114)
山川 俊貴 熊本大学, 大学院先導機構, 助教 (60510419)
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研究期間 (年度) |
2015-05-29 – 2020-03-31
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キーワード | 局所脳冷却 / マルチモーダルセンサ / 病態ダイナミクス / てんかん |
研究実績の概要 |
本研究では、てんかんの病態に潜む病態ダイナミクスを多面的に計測することでその本質を理解し、局所脳冷却の技術を発揮することでその病態を制御する手法を確立する。そして、①脳機能計測、②脳情報解析、③脳病態制御の3要素を統合する局所脳冷却難治性てんかん治療装置の実現を目標としている。 H27年度は、試作、術中研究、神経モデリングについて、それぞれ次の通り実施した。 試作)頭蓋骨置換型のチタン製冷却デバイスの開発と頭蓋内留置可能なマルチモーダルセンサの開発を進めた。チタン製の冷却デバイスについてはデバイス内の流路シミュレーションを実施することで最適な流路形状を検討し、現状の試作品でも高い冷却効果があることがわかった。マルチモーダルセンサについては、センサより得られる信号を正確に変換できる回路を新しく導入した。 術中研究)マルチモーダルセンサを脳腫瘍、てんかん、動静脈奇形の手術に対して、試験計測を実施した。概ね良好な信号が計測できることを確認した。冷却デバイスについては、試作に時間を要したため、年度内の術中試験を実施できなかった。 神経モデリング)神経回路網モデルの条件設定のために様々なモデル候補について繰り返し検討・構築した結果、当初予定していたよりも複雑な温度依存性を有するモデルでなければ、目的とするてんかん発作抑制現象を示すモデルの確立が困難であることが判明した。次年度以降に対策を講じ解決を図る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試作デバイスを用いて術中モニタリングを実施することができ、各センサや冷却デバイスが正常に駆動することを確認した。流路シミュレーションや神経モデリングについても動物実験等の整合性があっており、良い方向に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
冷却デバイス:頭蓋内埋め込みが可能なチタン製デバイスの形状検討を続ける。外部・内部の形状についてはシミュレーションにより実施する。 マルチモーダルセンサ:短期留置できるようマルチモーダルセンサの改良を進め、年度後半には、てんかん、脳卒中、頭部外傷患者に対して、マルチモーダルセンサのみを頭蓋内に留置し、1~2週間のモニタリングを実施する。 病態ダイナミクス解析:神経モデリングによる温度とてんかん性異常脳波との関係について検討をすすめる。
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