今後の研究の推進方策 |
2次元MPPCアレイ素子を用いた「多色X線CTモジュール」の開発を進める。今回提案する低被ばくCTにおいても、必要となるデータ処理レートは 100万 cps/mm2 程度と見込まれ、高速アナログLSIの開発が鍵となる。まずは 2mm角 4x4アレイを想定し、夏までにLSIの設計を終える。平成28年度内に第一版LSIの試作と性能評価を終了させたい。医療用コンプトンカメラについては平成28年度から分担者として大阪大学医学部核医学講座の畑澤教授、連携研究者として同・下瀬川教授を迎え、専門の臨床的見地からアドバイスを戴き、今後の開発や実験方法に反映させる。具体的には131I, 65ZnCl2, 85SrCl2 を用いた多色ファントム撮影を10月頃に大阪大学で予定している。陽子線モニタシステムについては MPPC と光電子増倍管を用いた (1) 制動放射X線イメージングシステム(2) MeV ガンマ線コンプトンカメラの開発を予定し、現在シミュレーションによるジオメトリの最適化を行っている。コンプトンカメラの開発に関しては、連携研究者に浜松ホトニクス社中央研究所の大須賀慎二氏を迎え、ハードウェアや画像アプリ開発に関する御協力をいただく。実験環境としては、平成27年度に引き続き、放医研・名古屋陽子線治療センタ・若狭湾エネルギーセンターのビームタイムを獲得しており、70MeV, 200MeVにおける各種ファントム(水、PMMT, CaOH)への照射実験を遂行する。ビーム照射中の検出器ダメージの影響を減らすため、MPPC を用いた各種カメラのほか、マルチアノード光電子増倍管(MAPMT)とアナログLSIを用いた新規システムの立ち上げを予定している。環境計測では、約2ヶ月おきに福島県浪江町の森林に調査同行し、定期的なドローンを用いた高度測定と、無線コンプトンカメラの性能改善に努める。
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