研究課題
蛍光タンパク質およびそれを応用した可視化技術は生物、医学分野で非常に重要な技術となっている。我々はGFPをもとに蛍光Ca2+プローブG-CaMPを開発してきた。また最近では赤色蛍光カルシウムプローブ(R-CaMP)も開発している。これらのプローブは線虫、ショウジョウバエ、ゼブラフィッシュ、マウス、等多くのモデル生物で利用され、神経細胞の活動のモニターや、再生医療の基礎研究でも分化した細胞の活動のモニターに応用されている。一方、ペプチドアプタマーは特定の分子と特異的に結合するペプチドで、通常ランダム配列の巨大なライブラリー中から選び出してくる。アプタマーは近年、分子認識が可能な生体物質として、生物工学的応用、薬剤への応用が検討されている分子である。本研究ではG-CaMPの蛍光リポーター部分を用い、分子認識部分にペプチドアプタマーを結合させ、種々の分子を認識できる蛍光プローブを迅速に作成する技術を開発する。可視化技術は生物学、医学、薬学においてますます必要とされている重要な技術である。本研究は蛍光プローブの革新的開発手法に関するものであり、新たに開発する方法論では、蛍光プローブの作成でペプチドアプタマーを用いることにより、これまでよりより短時間に高性能な蛍光プローブが開発できるようになる。また、本研究で開発が見込める高性能な蛍光プローブを生物学、基礎医学、疾患の原因解明、創薬、疾患バイオマーカー等の検査薬、医薬品に利用することにより人類社会に貢献できると期待される。
2: おおむね順調に進展している
(1)機能的アプタマーを用いた蛍光プローブ開発:機能的アプタマーとして既知のペプチドアプタマーを用い、それをGーCaMPのレポーター部分と分子生物学的に融合させたペプチドアプタマー蛍光プローブを作成した。このプローブを大腸菌に発現させ結合活性、蛍光に及ぼす影響について、機能解析した。(2)高速スクリーニング法の確立:プローブ作成においてこれまで収率が低かった律速部分について新たなアイデアにより高速化を試みた。その結果、反応時間をこれまでより大幅に短縮させることが可能になったとともに、安定してプローブを作ることが可能になった。また、リポソームのスクリーニング法についてリポソームの作成条件を検討した。セルソーターの導入により、スクリーニングを高速化することが可能になった。また、マイクロカロリーメーターの導入により、固定化していないサンプルの結合状態を例え蛍光を発しない状態でも検討することが可能になった。
(1)ランダム配列を持つアプタマーを用いた蛍光プローブ開発:ランダム配列を用い蛍光プローブのプロトタイプを作成する方法を確立する。ランダム配列をG-CaMPのリポーター部分と結合させたライブラリーを作成し高速スクリーニング法でスクリーニングして、基質に結合して蛍光が変化する蛍光プローブを取得する。(2)高速スクリーニング法の確立:スクリーニングの各部においてより効率的なスクリーニング法の検討を行う。また、リポソームの高速スクリーニング法を研究する。
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