| 研究課題/領域番号 |
15H05755
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| 研究機関 | 名古屋大学 |
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研究代表者 |
石原 一彰 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (40221759)
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| 研究期間 (年度) |
2015-05-29 – 2020-03-31
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| キーワード | 触媒設計・反応 / 酸 / 塩基 / ナノ触媒 / 機能触媒 |
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| 研究実績の概要 |
酸塩基複合化学を基盤に、非共有結合性相互作用、共鳴効果、誘起効果、動的平衡を活かしたナノサイズの超分子酸塩基複合触媒を設計し、従来法では実現困難な高難度な選択性と高い触媒活性を発現する高機能触媒の開発を目的に研究を実施した。高機能発現には触媒活性中心近傍のナノ空間制御が最重要課題だとなる、以下、研究実績を具体的に示す。
(1)酸塩基複合型超分子触媒のナノ空間制御に基づく高次立体選択的反応の開発（石原・波多野班）： 光学活性ビナフトール由来のキラルリン酸触媒とアキラルLewis酸からin situで調製されるLewis酸複合型キラルBroensted酸触媒を用いてエナンチオ選択的Diels-Alder反応を達成した。また、キラルリチウムホスホリルフェノキシドを酸塩基複合触媒に用いるケトンのエナンチオ選択的シアノシリル化反応に成功した。
(2)イオンペア触媒のナノ空間制御に基づく高次立体選択的反応の開発（石原・Uyanik班）： キラル第四級アンモニウムヨージドを触媒前駆体に、クメンヒドロペルオキシドを共酸化剤に用いて次亜ヨウ素酸塩をin situで発生させ、γ-ヒドロキシケトンのエナンチオ選択的酸化的環化反応による2-アシルテトラヒドロフランの不斉合成に成功した。また、キラルヨードベンゼンを触媒前駆体に、メタクロロ過安息香酸を共酸化剤に用いて、三価の超原子価触媒をin situで調製し、スチレン類のエナンチオ選択的ジヒドロキシ化反応を達成した。本研究はK. Muniz教授（スペイン）との国際共同研究成果である。
(3)酸塩基複合触媒のよる選択的ポリエン環化反応の開発（石原・堀部班）： 有機セレン化合物とヨウ素から活性セレン触媒を調製し、ハロゲンの付加を伴う分子内環化反応が高効率的に進行することを見出した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
様々なタイプの酸塩基複合触媒の開発に着手し、期待以上の成果が初年度に達成され、そのいくつかについては論文発表することができた。特に、スペインのKilian Muniz教授(ICIQ, The Barcelona Institute of Science and Technology)との共同研究は当初の計画に含まれていなかったが、国際会議での議論をきっかけに共同研究へと発展し、Angew. Chem. Int. Ed.に論文発表できたことは大きな進展である（掲載号の表紙(cover picture)を飾る栄誉にも恵まれた。）。また、有機セレン触媒も試行錯誤のなかから新たに見つかった新規性の高い研究成果である。まだわからないことも多く継続して研究することが必要であるが、当初の計画には含まれていない成果であり、大きな進展と言える。
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| 今後の研究の推進方策 |
各々の酸塩基触媒の開発研究を継続し、より高活性・高選択性を発現する触媒開発を目指す。また、基質適用範囲の拡大、他の反応開発への展開なども念頭に研究を推進していく予定である。特に、高難度の選択性（遠隔不斉誘導、異常選択性）や複数の選択性を同時に制御するマルチ選択的反応開発を重点的に研究する。また、バイオミメティックポリエン環化反応などのカスケード反応やタンデム反応に適した触媒開発も行なっていきたい。
高度な選択性発現には精密な触媒反応場を構築することが必須条件であり、超分子化学を駆使した触媒設計によるナノサイズの鍵穴をテーラーメイドに構築する分子技術の確立が求められる。そのためには、超分子構造の基本ユニットの設計が鍵となる。この基本ユニット構造を何種類もパターン化したものを持たなければ、迅速なテーラーメイド触媒の開発は難しい。基礎研究から実用化可能な分子技術まで、区別することなく一連の流れのなかで研究を行っていきたい。
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