研究実績の概要 |
2020年度は2019年度から繰越した研究費を用いて、前年度からの研究を継続的に実施し、その成果を論文発表した。以下のその概要を示す。(1) キラルπ-銅(II)触媒を用いるアシルピラゾールのエナンチオ選択的α-フッ素化反応を開発した。(2) 入手容易なアジ化ナトリウムと過酸化水素を反応剤に、キラル第四級アンモニウムヨージド触媒を用いるカルボニル化合物の化学及びエナンチオ選択的α-アジド化反応を開発した。キラル第二級アミンと2-ヨードフェニルボロン酸をそれぞれ触媒に用いてシクロアルカノンと不飽和カルボン酸とのエナンチオ選択的1,4-付加反応を開発した。生成する光学活性キラルケトカルボン酸からヨウ素触媒を用いてスピロラクトンへ変換できることを示した。(3)キラルビスリンオキシドと鉄(III)の錯体触媒と銀(I)トリフラート触媒の協奏的活性化によるワンポットMicahel付加/エナンチオ選択的Conia-エン環化タンデム反応を開発した。(4)第四級アンモニウムヨージド触媒とアルキルペルオキシドを用いるアレノールからのo-キノンメチドへの位置選択的酸化反応を開発した。この反応で生成するo-キノンメチドはスピロエポキシ化反応、[4+2]環化付加反応、6π-電子環状反応、共役付加反応の原料となるため、これらのワンポットタンデム反応が可能であることを示した。(5)キラルC1対称ビスリン酸触媒を用いるケチミンへのインドール及びピロールのアザ-Friedel-Crafts反応を開発した。興味深いことにピロールとインドールの違いで絶対立体選択性が逆転することがわかった。(6)チオ尿素をLewis塩基触媒に、ヨード琥珀酸イミドをLewis酸触媒に用いるヨードラクトン化反応におけるハロゲン結合の効果についてX線結晶構造解析などによる解明した。
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