研究課題/領域番号 |
15H05762
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
宮崎 誠一 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70190759)
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研究分担者 |
牧原 克典 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90553561)
大田 晃生 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任助教 (10553620)
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研究期間 (年度) |
2015-05-29 – 2019-03-31
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キーワード | Si量子ドット / スーパーアトム / LED |
研究実績の概要 |
初年度は、GeH4-LPCVDの精密制御によりGeコアサイズの異なるコア/シェルドットを形成し、コアサイズが発光特性に及ぼす影響を評価した。具体的には、p-Si(100)基板上に850℃で膜厚~2nmのSiO2膜を形成し、希釈HF処理後、SiH4ガスのLPCVDによりSi量子ドットを高密度・一括形成した。その後、GeH4ガスのLPCVDによりSi量子ドット上にGeを選択成長した。引き続き、SiH4-LPCVD により、GeをSiで被覆することでGeコア/Siシェル量子ドットを形成した。その後、He希釈1%O2のリモートプラズマにより~2nmのラジカル酸化膜をドット表面に室温で形成した。尚、GeH4-LPCVDにおいて、堆積時間を変化させることで異なるサイズのGeコアを形成した。 GeH4-LPCVD前後のAFM表面形状像を測定した結果、堆積時間に依らずドットの面密度に変化が認められないことから、予め形成したSi量子ドット上へGeが選択成長したことを確認できる。また、Ge堆積後のドット高さは、Si量子ドットに比べ、堆積時間2.5分および3分において、それぞれ~2nmおよび~6nm増加した。Geコア上に、Siキャップを形成した後に測定したコアサイズ~6nmのコア/シェルドットのPLスペクトルには、0.6~0.8eVにブロードなスペクトルが観測された。一方、コアサイズ~2nmのコア/シェルドットでは、コアサイズ~6nmのPLに比べ~80meV高エネルギー側にシフトしたPLスペクトルが観測された。これらの結果は、GeコアSi量子ドットからのPLは、Geコアの量子準位間の発光再結合であることを示し、Geコアサイズの縮小による発光エネルギーのシフトは、量子化エネルギーの増加と界面組成ミキシング層の顕在化として解釈できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標は、ドットサイズ(コアサイズ、シェル厚み)、形成条件を系統的に変化させ、電子状態、歪を評価するとともに、発光波長、発光効率に及ぼす影響を調べることであり、十分に達成できていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
28年度は、Si系量子ドット三次元自己整合集積構造において、キャリア輸送特性およびエレクトロルミネッセンス特性を評価し、キャリアの注入効率および濃度を向上させることによりEL発光の高輝度化に取り組む。さらに、三次元自己整合集積構造をシリコンラインパターンに結合させ、高濃度キャリア注入を行い、EL強度の増幅および発光スペクトルの狭帯化に取り組む。 具体的には、三次元規則配列したコア/シェル量子ドットの自己整合集積構造において、ドット内(コア或はシェル)に不純物(P或はB)をデルタドープして、キャリア輸送特性および発光特性に及ぼす影響を定量的に評価する。また、ドット間の酸化膜厚およびシェル厚みをパラメータとして、キャリア閉じ込め効果、ドット間のキャリアトンネル確率の変化が、キャリア注入効率、発光強度に及ぼす影響を評価する。 更には、p型Si基板上に上層のドットを下層よりも大きくした自己整合集積構造を形成し、その上に上部電極としてn型アモルファスシリコン(a-Si)を形成したダイオード構造においてEL特性を評価する。この構造では、下層ドットの量子化エネルギ(特に伝導帯)が上層ドットより大きくなるため、n型a-Siから注入した電子を上層ドットに閉じ込めることができ、a-Si-Si量子ドット間の価電子帯オフセットの存在によって、p型Si基板から注入した正孔をドット層中に閉じ込めることができる。 最終年度では、サブミクロンライン&スペースパターンに加工したSOI基板において、Siライン側壁に自己整合集積ドットを形成する。この構造では、ライン幅を0.5μm程度に設定することで幅方向に光を閉じ込め、ライン長を制御することにより光増幅の波長選択を行う。
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