研究課題
1) TTF-1は、腫瘍抑制因子として働く一方で、腫瘍促進因子としての側面も知られている。TTF-1は非小細胞肺がん(NSCLC)ではTGF-βによる上皮間葉移行(EMT)の誘導に拮抗し、腫瘍抑制因子として作用するが、TTF-1の小細胞肺がん(SCLC)での役割は解明されていない。我々は、ヒトSCLC細胞株と肺腺がん細胞株を用いて、TTF-1が制御する転写プログラムを比較した。その結果、TTF-1はSCLC細胞では転写因子ASCL1と協調し、神経内分泌分化や細胞の増殖に関与していることが明らかとなった。2) TGF-βはTNF-αやFGFと協調することでEMTの多彩な表現型の形成に関与する。我々は腫瘍血管内皮細胞(TEC)の TGF-β誘導性内皮-間葉移行(EndMT)の制御における FGF2 の役割を検討し、FGFシグナルがTGF-β誘導性の内皮-筋線維芽細胞移行(End-MyoT)を阻害し、収縮性筋線維芽細胞の形成を抑制することを明らかにした。一方で、FGFシグナルはTGF-βと協働して、遊走性や増殖性を有する活性型線維芽細胞の形成を促進することを明らかにした。TECから筋線維芽細胞と非筋線維芽細胞が形成される過程でTGF-βとFGF2が協調と拮抗の両方の作用を発揮し、腫瘍微小環境における間葉系細胞の特徴を決定していることが示唆された。3) TGF-βはがん転移の過程でがん細胞の浸潤のみでなく転移臓器での生存や血管外脱出にも関与することを我々は明らかにしてきた。がん転移に対するTGF-β処理・非処理肺がん細胞の役割を解析した結果、TGF-β処理肺がん細胞はがん微小環境に影響を与えて、TGF-β非処理肺がん細胞の転移を促進することを明らかにした。TGF-β処理肺がん細胞による非処理細胞の転移促進には血小板やマクロファージとの協調作用が重要であることが示唆された。
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