研究課題
本研究は病原糸状菌の感染戦略における宿主認識と感染器官の形態形成の分子機構研究をウリ類炭疽病菌を用いて行い、病原糸状菌の感染適応戦略を分子レベルで理解することを目的としている。病原菌の侵入前の宿主表層環境の認識と侵入器官形成の制御機構と侵入後の宿主- 病原菌間インターフェイスを介した形態形成および感染制御機構の解明を進めた。侵入前の事象に関しては、炭疽病菌が植物表層のクチンの構成要素であるn-octadecanalをシグナル物質として受容し、MOR[morphogenesis-related NDR kinase network]経路を介して侵入器官の形態分化を行うことを明らかにし、この経路に関連する新規の転写因子、キナーゼ、細胞骨格制御因子の同定を行うことに成功した。さらに、炭疽病菌ゲノム中にタンデムに配置されるペルオキシダーゼとアルコールオキシダーゼがクチンの構成要素である長鎖アルコールを反応基質とし、病原性に重要な役割を果たしていることを見出し、植物表層における侵入器官の誘導と侵入行動に関する統合的な感染機構の存在を明らかにした。また、侵入後の事象では植物-病原菌間のインターフェイスへのエフェクター分泌機構の解明を進め、エキソサイトーシスの関与を見出した。また、エフェクターをコードする遺伝子の発現制御に関わる転写因子の同定に成功した。さらに、エフェクターが誘導免疫系を標的とする事例を証明し、インターフェイスへのエフェクターのターゲティングの生物学的意義として、植物のPAMP誘導免疫の抑制にあることを提示した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
J. Exp. Bot.
巻: 71 ページ: 2085-2097
https://doi.org/10.1093/jxb/erz556
New Phytol.
巻: 222 ページ: 1909-1923
https://doi.org/10.1111/nph.15728
Mol. Plant-Microbe Interact.
巻: 32 ページ: 313-324
https://doi.org/10.1094/MPMI-05-18-0118-R
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.
巻: 116 ページ: 496-505
https://doi.org/10.1073/pnas.1807297116
http://blog.livedoor.jp/beachan_/