研究課題
1.慢性閉塞性肺疾患(COPD)マウスモデルを使って肺気腫の発症過程を解析し、肺に浸潤してくる好塩基球が重要な働きをしていることを明らかにした。すなわち、好塩基球の産生するIL-4が肺に浸潤した単球に作用して間質マクロファージへと分化させること、間質マクロファージが分泌するタンパク分解酵素MMP-12が肺胞壁を傷害し、肺気腫が形成されることが判明した。肺気腫の新たな治療標的の同定につながる重要な発見である。2.1度マダニ感染を経験すると2度目以降の感染では宿主動物がマダニ吸血に対して抵抗性(獲得耐性)を示す。本研究において耐性獲得のメカニズムを明らかにすることができた。すなわち、2度目の感染部位に集積した好塩基球が分泌するヒスタミンが皮膚表皮細胞に作用して増殖を促進すること、その結果表皮が肥厚しマダニによる吸血が阻害されることが判明した。マダニ感染に対するワクチン開発につながる重要な発見である。3.好塩基球が必須の役割を果たしているIgE依存性慢性アレルギー炎症(IgE-CAI)では、アレルゲンにおけるキャリアタンパク質の違いによってIgE-CAIの炎症強度が著しく異なり、大きな凝集体を作るキャリアタンパク質を用いた場合に重篤なIgE-CAIが誘導されることが判明した。アレルゲンとなりうるタンパク質の性状を示した重要な発見である。4.好塩基球によるIL-4産生にはCa2+の流入が必要である。本研究においてIL-4産生刺激の種類の違いによって異なるCa2+センサーが作動することが判明した。すなわち、IgE受容体を介する刺激ではSTIM1が、IL-3受容体を介する刺激ではSTIM2が主要な役割を担う。これまでCa2+流入におけるSTIM2の重要性は低いと考えられていたが、IL-3刺激による好塩基球のIL-4産生においてSTIM2が必須の役割を果たしていることが明らかとなった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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