研究課題/領域番号 |
15H05788
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤田 敏郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (10114125)
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研究分担者 |
広浜 大五郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (20749353)
河原崎 和歌子 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (50424594)
鮎澤 信宏 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (50459517)
柴田 茂 帝京大学, 医学部, 准教授 (60508068)
丸茂 丈史 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任准教授 (70265817)
大庭 成喜 東京大学, 医学部附属病院, 登録診療員 (80361492)
森 典子 東京大学, 22世紀医療センター, 特任助教 (80431857)
下澤 達雄 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90231365)
西本 光宏 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (90646572)
上田 浩平 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (80735697)
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研究期間 (年度) |
2015-05-29 – 2020-03-31
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キーワード | 食塩感受性高血圧 / ミネラルコルチコイド受容体 / アルドステロン / コルチゾール |
研究実績の概要 |
生活習慣病にともなう臓器障害に副腎皮質ホルモンのアルドステロンとコルチゾールの過剰が関わることは知られている。わたしたちは、その受容体のMRとGRの活性化が、ホルモンの血中濃度とは独立して重要な役割を果たすことを報告してきた。 本研究では、これまで得られた結果に基づきMR・GR活性化機構の解明を① Rac1-MR系②新たなMR・GR下流分子、③新規MR・GR活性化機構、の3点について進めている。 本年度の研究で、心不全でのRac1-MR系の意義について検討を進め、Rac1-MR系の活性化がNADPH oxidase 4を刺激して活性酸素の過剰産生を介して心筋の機能不全を引き起こすことを見出し報告した(Hypertension 2016)。 また、尿細管特異的なRac1 KOマウスの検討を進め、Rac1が腎臓線維化調節に関わる新たな機序についての知見を得ることができている。 さらに、体液NaClバランスと血圧維持に寄与する遠位曲尿細管のNa+-Cl-共輸送体と腎集合管間在細胞のCl-/HCO3-輸送体Pendrinの活性調節について検討を行った。その結果、一般には両者は並行して活性が制御されていると思われているが、条件によってはレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系に対する反応が異なることを示す知見が得られてきている。来年度以降に詳細な機構と高血圧での意義についての検討を進める予定である。 また、Rac1-MR系に対する介入のためPGI2の腎臓障害に対する保護作用についての検討を行い、腎臓障害進展に関わる新規のPGI2標的分子が存在することを見出している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の研究によって腎臓に加えて心臓でもRac1-MR系の活性化が臓器機能不全に関わることを示すことができた。腎臓では尿細管でのRac1の新たな作用点が明らかになりつつある。 また、新規MR・GR作用点の同定のために、腎臓尿細管特異的MRおよびGR KOマウスの作出を進めた。後天的にKOできる条件を整えたうえ、KO部位の免疫染色学的検討を行い特異的KOの確認ができた。さらに、腎臓内GR過剰刺激状態の解析に向けて、HSD11B2の遠位ネフロン特異的KOマウスを作成して解析を開始している。また、間在細胞特異的な遺伝子改変マウスも順調に得られてきている。来年度以降にこれらのマウスを用いた病態の解析が可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
腎臓尿細管特異的Rac1 KOマウスを用いて腎障害へのRac1-MR系の関わりならびにRac1そのものの腎臓障害での意義について検討を進める。 11β-HSD2は腎尿細管・腸・神経系に発現し、コルチゾルを分解・不活化する酵素である。ヒトのHSD11B2遺伝子の変異は、コルチゾル刺激による鉱質コルチコイド受容体MRの過剰な活性化を介して食塩感受性高血圧・低カリウム血症(AME症候群)を惹起すると考えられている。HSD11B2全身KOマウス・ラットの成績は報告されているが、腎臓での作用は未解明である。そこでこれまでに遠位ネフロン特異的KOマウスを作出を行った。来年度以降、腎臓内でのGR・MR刺激の食塩感受性高血圧での役割について検討をすすめる。 腎臓尿細管特異的MRおよびGR KOマウスをこれまでに作出した。来年度以降は高血圧惹起刺激でのこれらのマウスのフェノタイプならびに腎臓での血圧関連分子の変化について検討を進める。遠位尿細管の細胞種特異的な検討も進める。また、間在細胞特異的遺伝子改変マウスも作出されてきており、血圧関連分子の調節でのMR、GRの作用について検討を加える。 食塩感受性高血圧は加齢、肥満、糖尿病によって生じる。来年度以降は、これらの状態での食塩感受性の原因となる因子の検討を個別に検討をする。加齢との関連でSirtuin, Klothoなど、肥満・糖尿病との関連で糖代謝・脂質代謝の関連分子が高血圧発症過程でどのようにMR・GRと関連するか個別に解析を進める。
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