研究課題
本研究の総研究期間の総計として、病理学的にpStage IAと確認できた通常型膵癌症例を66例収集でき、これは目標数を大幅に上回る成果であった。我々は末梢血中のmiRNAのアデニンのメチル化に着目し、質量分析器(MALDI-TOF-MS)を用いてメチル化miRNAを検出する方法を開発した。この方法でmiR-17-5pのメチル化を解析したところ、ポジション19のアデニンのメチル化が確認された。そこで本研究で収集したpStage I、IIの膵癌検体を用いてmiR-17-5pのメチル化率を測定したところ、健常人と比較して有意にメチル化率が上昇していることが示され、現在臨床で頻用されている腫瘍マーカー(CA19-9、CEA)に比べて、遙かに効率的に早期膵癌を検出できることが示唆された。早期膵癌の診断のためのメタボローム解析として、収集した唾液検体を用いてCE-TOF-MSとLC-Qq-MSで解析を行った。代謝産物の解析結果のうち検出率が80%以上で、切除術前と比較して切除術後に有意に低下する物質を34種同定し、このうち健常人に比べて膵癌症例で有意に上昇している物質を22種同定した。さらにこれらのうち年齢により変化しない10物質を同定した。これらのうちpStage IA膵癌の正診率が良好であった2つの代謝産物を組み合わせて使用することにより、90%(18例/20例)の正診率で早期膵癌を診断可能であることが示された。さらにvalidation phaseとして独立した36例を用いて同様の解析を行ったところ、36例中29例(81%)で膵癌が診断可能で、pStage IA症例でも12例中10例(83%)で診断が可能であった。極めて収集の難しい早期膵癌症例の検体を収集し、それらを新規の解析法でアッセイすることにより、既存の診断法より優れた診断法を樹立しえたことが本研究の実績である。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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