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2016 年度 実績報告書

カントにおけるパトリオティズムとリパブリカニズム:18世紀思想史の一断面

研究課題

研究課題/領域番号 15H05980
研究機関北海道大学

研究代表者

齋藤 拓也  北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (70759779)

研究期間 (年度) 2015-08-28 – 2017-03-31
キーワードカント / 共和主義 / パトリオティズム / フランス革命 / 神聖ローマ帝国 / 18世紀思想史 / 政治的徳 / 熱狂
研究実績の概要

カントが政治的体制とパトリオティズムに関する考察を展開した論考『理論と実践』を掲載した『ベルリン月報』の寄稿者、および同時代のその他の論者たちの議論を取り上げ、18世紀後半のドイツ語圏における政治的イデオロギーの観点から、以下のようなパトリオティズムの諸類型を析出した。
(1)神聖ローマ帝国と結びついたパトリオティズム類型:郷土への忠誠よりも神聖ローマ帝国への愛着を優先するべきことを説いたF・C・フォン・モーザーのテクストや、身分制的な国家論を展開したJ・メーザーの『郷土愛の夢』から、「祖国」理解の一類型を引き出した。
(2)君主政と結びついたパトリオティズム類型:「祖国」概念を明示的に共和政ではなく君主政と結びつけてパトリオティズム論を展開したT・アプトのテクストをもとに、共和主義と結びついていたパトリオティズム理解の転換を確認した。
(3)啓蒙主義的パトリオティズム類型:フランス革命勃発後の時期に『ベルリン月報』に掲載されたW・A・テラーやE・F・クラインの論考を分析し、そこから啓蒙絶対主義を前提として官房学的、功利主義的観点から発展段階的に論じられる祖国愛や、自由で高貴な「思考様式」を促進する政府への愛を、パトリオティズムの一類型として把握した。
これらの類型と比較することによって、カントの「思考様式」を軸にしたパトリオティズムが共和制概念と結びつき、専制的(家父長的)統治を批判する論理を構成するものであること、さらに、そのような「思考様式」が、フランス革命の考察において、人間学のテクストで強調される真の意味での熱狂をもたらすものであること、が確認された。

現在までの達成度 (段落)

28年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

28年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [雑誌論文] カント政治思想における「知恵」の概念――公的意志の形成をめぐって2016

    • 著者名/発表者名
      齋藤拓也
    • 雑誌名

      政治思想研究

      巻: 16 ページ: 144-175

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Kant on Cosmopolitan Right between the "Universal" and the "Particular": Republic, Cosmopolitanism, and Patriotism2016

    • 著者名/発表者名
      Takuya SAITO
    • 学会等名
      State of the Community 2016 "Citizens, Communities, and Multilayered Identities"
    • 発表場所
      UNESCO World Heritage Center (Paris)
    • 年月日
      2016-11-21
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] カントと18世紀後半におけるドイツ語圏のパトリオティズム2016

    • 著者名/発表者名
      齋藤拓也
    • 学会等名
      社会思想史学会第41回研究大会
    • 発表場所
      中央大学(後楽園キャンパス)
    • 年月日
      2016-10-30
  • [学会・シンポジウム開催] Jean-Jacques Rousseau: Gesellschaft und Sitten2016

    • 発表場所
      北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院
    • 年月日
      2016-09-20 – 2016-09-20

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公開日: 2018-01-16  

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