研究課題/領域番号 |
15H05984
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
深山 誠也 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 助教 (50756682)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | 経営学 / 競争戦略 / 組織特性 / 高齢者介護サービス / 社会福祉法人 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,高齢者介護サービスを提供する社会福祉法人,すなわち高齢者介護組織における競争戦略と組織特性の形成プロセスを解明することである.具体的には,(1)高齢者介護組織に関わる研究の中で,析出された有効な競争戦略と組織特性が「どのように」形成されたかのプロセスを詳細に記述・分析することにより,形成プロセスの実態を包括的に解明する.その上で,(2)なぜ,有効な競争戦略と組織特性を形成することができたのかについて,その形成プロセスにいかなる因果メカニズムがあるかについて検討する. 当該年度においては,主に,有効な競争戦略の1つである「差別化・コスト併用型」採用する調査対象組織に対して,事例分析を行った.本研究では,競争戦略および組織特性の形成プロセスを詳細に記述・分析を行うのに必要な様々なタイプの膨大なデータを収集するため,調査対象組織に対して複数回にわたる聴取調査および参与観察が行われた.「差別化・コスト併用型」の競争戦略を採用する高齢者介護組織に関する調査の中間報告が,研究発表1件の形でまとめられた.当初の予定では,「コスト志向型」の競争戦略を採用する組織への複数回にわたる聴取調査も行う予定であったが,「差別化・コスト併用型」および「コスト志向型」を採用する組織の関係者への聴取調査の結果,想定していた有効な競争戦略について再検討を行う必要が生じた.この問題の解決に向けて,理論的枠組および定量的研究の精緻化を優先させたため,一部研究の進捗が遅れた。これに関しては,文献・資料の入手・渉猟および学会などへの参加を通じて,理論的枠組の定量的研究の精緻化が進められた. 本研究の結果は,これまでの申請者の研究の中で蓄積された定量的分析と事例分析とを統合することにより,高齢者介護組織における有効な競争戦略と組織特性の特徴およびその形成プロセスを包括的に解明することができる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度においては,主に,有効な競争戦略の1つである「差別化・コスト併用型」採用する調査対象組織に対して,事例分析を行った.本研究では,競争戦略および組織特性の形成プロセスを詳細に記述・分析を行うのに必要な様々なタイプの膨大なデータを収集するため,調査対象組織に対して複数回にわたる聴取調査および参与観察が行われた. 「差別化・コスト併用型」の競争戦略を採用する高齢者介護組織に関する調査の中間報告が,研究発表1件の形でまとめられた. 当初の予定では,「コスト志向型」の競争戦略を採用する組織への複数回にわたる聴取調査も行う予定であったが,「差別化・コスト併用型」および「コスト志向型」を採用する組織の関係者への聴取調査の結果,想定していた有効な競争戦略について再検討を行う必要が生じた.この問題の解決に向けて,理論的枠組および定量的研究の精緻化を優先させたため,一部研究の進捗が遅れた. これに関しては,文献・資料の入手・渉猟および学会などへの参加を通じて,理論的枠組の定量的研究の精緻化が進められた.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,前述した目的を達成するために,平成27~28年度の2年計画で実施される.平成28年度において研究は以下の通り,進められる. (1)高齢者介護組織における「競争戦略と組織特性の形成プロセス」に関連する文献・資料を入手・渉猟し,理論的枠組を精緻化する.また,事例研究の進捗にもとづいて,理論的枠組を精緻化する.(2)「差別化・コスト併用型」を採用する組織への聴取調査と参与観察を実施し,2次ドラフトおよび完成版を作成する.(3)「コスト指向型」を採用する組織への聴取調査などを実施する(1次ドラフト,2次ドラフト,完成版の作成).(4)「差別化志向型」と「差別化・コスト併用型」を採用する組織の事例研究の結果を中間報告書としてまとめ,日本経営学会に投稿する.(5)事例研究と参与観察の結果を集約する.(6)3つの有効な競争戦略と組織特性の形成プロセスに関して共通点と相違点を析出し,因果メカニズムを解明する.(7)定性的研究(事例研究,参与観察)から得られた結果と,定量的研究から得られた結果を集約する.(8)最終報告書を作成するとともに,学会報告の準備をする.現時点では,組織学会にて報告予定である.
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