上皮細胞層に、がん変異細胞が生じた時、その変異細胞は正常細胞層から排除される。この現象は、変異細胞が単独で存在するときには見られない。そのため、変異細胞側からシグナル発信により、正常細胞の抗腫瘍能を惹起していると考えられる。しかし、この変異細胞からのシグナルの実体は不明である。正常細胞で発現が亢進している遺伝子の更に下流で発現しているタンパク質に注目したところ、プロスタグランジン群であることが分かった。種々の解析から、特定のプロスタグランジンが変異細胞の逸脱能を抑制していることがわかった。本研究から、変異細胞自身が逸脱しようとすることを、正常細胞側からのシグナルが制御することが明らかとなった。
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