研究課題/領域番号 |
15H05995
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
人羅 菜津子 北海道大学, 大学院薬学研究院, 助教 (40762191)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | 脳・神経 / 神経科学 / 行動薬理学 / 不安障害 / 再発 / ドパミン |
研究実績の概要 |
不安障害治療において、40 % 近い再発率の高さは深刻な問題である。申請研究では、ドパミンシグナル阻害による復元予防の汎用性を検討することを目的とし、多様な原因により引き起こされる復元を予防する可能性、および、既に承認済みのドパミン受容体阻害薬が復元予防に有効である可能性を検証する。 代表的な記憶学習課題であり、不安障害の動物モデルとしても広範に用いられる恐怖条件づけを応用することで、曝露療法および再発の動物モデルとする。マウスに実験環境で電気ショックを与えることにより両者の関係を学習させる。実験環境に再曝露すると、四肢をすくませる恐怖反応を示すが、長時間 (40 分間) 実験環境に曝露し続けることにより「実験環境はもう危険ではない」という新たな学習をさせ、恐怖反応を消失させる (消去学習:曝露療法の動物モデル)。 ストレスにより引き起こされる恐怖復元の実験系として、消去学習後に別の環境で弱い電気ショックを与えることにより、元の環境での恐怖反応を復元させた(再発の動物モデル)。復元時には、前頭前皮質 (PFC)に投射を持つドパミン性神経細胞が活性化していた。さらに、PFC内にドパミンD1受容体阻害薬であるSCH23390を局所投与することにより、復元が阻害された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前任地からの実験設備の移動、新任地でのセットアップが完了した。また、これまでに使用していた実験条件を引き続き使用可能であることを確認しており、研究の進捗状況はおおむね順調と評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
ストレスにより引き起こされる恐怖復元が、承認済みのドパミン受容体阻害薬の腹腔内投与、および、PFC内局所投与で阻害されるかどうかを検証する。さらに、他の種類のストレス、ストレスホルモン、時間経過など、他の原因により引き起こされる復元も阻害する可能性を検証する。
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