研究課題/領域番号 |
15H06002
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
坪井 香奈子 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 研究員 (50754610)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | ビスホスホネート / 糖尿病 / 骨細胞 |
研究実績の概要 |
糖尿病が骨組織にどのような影響を与えるか検討するため、新規肥満2型糖尿病モデルであるSDT (Spontaneously Diabetic Torii) fattyラットにおける骨組織を解析した。 結果 ① HE染色では両群間に大きな違いは認めなかったが、マイクロCT観察を行ったところ、SDT fattyラットでは、骨幹端骨梁の数や幅が減少する傾向を認めた。しかし、破骨細胞の局在をTRAP染色を行い観察したが、両群とも成長板直下に破骨細胞を認め、その数に明らかな違いはなかった。SDT fattyラットおよびコントロール群ともに骨基質面上にALP強陽性骨芽細胞が局在しており、また、準超薄切片観察においても細胞体のふくよかな活性型骨芽細胞を認めた。 ② 骨細胞・骨細管系についての検討した。鍍銀染色で骨細胞・骨細管系の走行を観察したところ、SDT fatty ラットの骨梁および皮質骨における骨細胞・骨細管系は規則的な走行を示していた。しかし、骨梁の骨細管ではchondroitin-4-sulfateやDMP-1の陽性反応が減弱していた。ところが、SDT fattyラットの骨小腔では、オステオカルシン強陽性反応を認めた。 ③終末糖化産物(AGE)染色では、SDT fattyラットの外骨膜および骨髄内の細胞間隙の線維状構造物において強いAGE陽性反応を観察した。さらに、SDT fattyラットの骨幹部骨髄において多数のα-SMA陽性細胞およびCD31陽性血管内皮細胞を認め、血管新生が活発に行われていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
糖尿病モデルラットは、突然死をきたすため個体数を多く得ることができない。現在、新たにラットを購入し飼育しているが、30週以上まで生育するのに時間を要するため実験の進捗がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
糖尿病ラットを用いた実験系においては、ラットの個体数が少なく、十分な解析ができていないため、まずは個体数を増やすことを目指す。その上で、下記の項目を検討する。 ①糖尿病ラットの準超薄切片で認められた細胞を同定するため、電子顕微鏡観察を行う。②糖尿病は骨質劣化を招くと言われているため、糖尿病ラットにおける骨質を検討するため、三点曲げ試験等を行う。 ③糖尿病の合併症として、微小血管障害は以前から指摘されている。本ラットにおいても、血管系の異常が認められた。したがって、糖尿病血管の組織化学的特徴を明らかにするために、電子顕微鏡や共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察する。 ④糖尿病は、顎骨壊死発症のリスクファクターとして考えられている。したがって、糖尿病ラットにBP製剤を投与したモデルを作製し、BP製剤と糖尿病が合併することで、骨組織にどのような影響を与えるか検索する。 BP製剤の骨細胞への直接作用についてのメカニズムについての解析もやや遅れている。 この点については、次世代顕微鏡である、構造化照明顕微鏡(Structured Illumination Microscopy:SIM)や HyVolution法を用いたHSR、STED(Stimulated emission depletion )などを用いて微細構造学的に解明することを主軸において研究をすすめたい。
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