研究課題
研究活動スタート支援
本研究は、九鬼周造の特に偶然論および時間論に主軸を置き、それと西田幾多郎の哲学との比較をも念頭に置きながら、偶然性を契機とする人間形成の論理を探究したものである。特に顕著な成果として、後期九鬼哲学の「自然」概念の意義が明らかにされたことが挙げられる。九鬼の言う「自然」とは、道徳的実践としての「必然」が、その無窮の反復によって「習慣」となった状態を指している。ここに「精神」と「自然」との対立が止揚された理想的人間像が見出されるとともに、「習慣」概念のさらなる探究の必要が明らかにされた。
教育哲学