研究課題
「研究目的」本研究の目的は肺静脈心筋に存在する過分極活性型Cl-チャネルをクローニングし、治療標的として、その分子実態の詳細を明らかにすることであった。肺静脈に存在する心筋細胞は、極めて頻度の高い心疾患である心房細動の発生起源であるとされている。申請者は、肺静脈で観察される新規クロライド(Cl-)電流を発見し、この電流が不整脈の発生を促していることを明らかにした。このCl-電流の分子実態を同定する事で、より実践的な治療標的とする狙いだった。「研究実施計画」本研究ではラットの肺静脈からRT-PCR法を使ってCl-チャネルをクローニングし、HEK293細胞に導入して機能を肺静脈のCl-電流と比較する計画だった。その結果、このCl-チャネルのポアドメインをクローニングし、Clcn2であると同定した。免疫染色で細胞レベルの発現も確認した。ところが、Clcn2単独の遺伝子導入だけでは肺静脈の過分極活性型電流を再現できず、Clcn2以外の要因を検討しなければならなくなった。文献的にも興奮性細胞では、Clcn2の機能的な膜発現にはβサブユニットが必要であるという報告があることから、プロテオミクスを利用した新規βサブユニットの探索の必要となった。申請者は本研究期間中に、プロテオミクス実験が可能な教室に所属教室を異動しており、新規βサブユニットの同定は今後行う予定である。以上に述べたように、当初の実験目的である遺伝子クローニングには成功したものの、最終目的としての治療標的としての分子実態同定にまでは至らず、Cl-チャネルをテーマとした論文発表はできなかった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
Aging cell
巻: 15 ページ: 716-724
10.1111/acel.12483